「ここは、死んだ誰かの身代わりになることができる場所です」いつの間にか訪れた見知らぬバーのバーテンダーである少年・水樹に言われた奇怪な一言に戸惑う冬弥。だが、次第に美由という大切な恋人のことを思い出す。美由との幸せな日々と、それを一瞬で消し去った大事故。それは後悔することすら許されない、あまりにも一瞬の出来事だった。冬弥と美由のすれ違った思いが、バー・アルケスティスで交錯する。
転校を機に、友達のいない寂しい学生生活から脱却することを決意した渡利昌也。彼は、転入先の学校で山根琴葉という女子生徒と出会う。教室で誰とも話さず、いつも一人で何かを書いている彼女に昌也は転校前の自分を重ねた。恋愛どころか人付き合いにさえ四苦八苦な二人の、不器用な恋の物語。