体力が限界を超えて立ち止まると、そう遠くない位置に交番の光が見えた。
周りは物静かな公園と、既にシャッターを下ろした店ばかりが並ぶ商店街。
人通りはまったくなく、交番までの道が私の立っている場所から一直線に伸びている。
交番の赤いランプの下には罪人を裁くための門番がいて、私が来るのを待っているような気がした。
私は確かに財布を受け取りました。
つい、食欲に負けて中身を使ってしまいました。
ですが、少女のことまで私のせいなのでしょうか。
私は両手で財布を握りながら、交番に向かってゆっくりと歩き出した。
小さな罪を裁いてもらいたかった。
代わりに抱えきれない大きな罪は、あなたのものではないと言ってもらいたかった。
とにかく許されたかった。
交番の前にたどり着いて中を覗いてみると、誰もいなかった。
奥には別の部屋へと続くドアがあるので、もしかするとそのドアの向こう側にお巡りさんがいるのかもしれない。
私は交番のドアを、音が出ないようにゆっくりとスライドさせて中へ入った。
まるで泥棒のように息を潜め、交番の中を見渡す。
奥の部屋に向かって一声かけるべきかとも思ったが、私にはそんな度胸も余裕もなかった。
私は目の前にあるデスクの上に、そっと財布を置いた。
その時、奥のドアが開いて中から警察官の制服を着た中年男性が出てきた。
またもや心臓が飛び上がり、ほとんど条件反射で交番から逃げ出した。