―――つまらぬ、身の上話をします。
僕がまだ、日本の奥地にある、とある村に住んでいた時の話です。
そのころ僕は10もゆかぬ歳で、世の中の事は右も左も分かりませんでした。
なっていったって、人は死んでも、願えば生き返ると信じていたくらいです。
とにかく僕は無知で罪深い、今思えば空恐ろしい子供でした。
そんな僕でもただ一つ真実として知っていたことがありました。
それは村のみんなが口癖のように言っていたこと。
「教主様は世界で一番偉い御方」だという真実。
教主様は当時の僕よりも少し年上の、村で一等美しい少年でした。
とびきり白い肌と、絹のような御髪と、澄み切った瞳とをお持ちで、
その儚げな美しさと言ったら、見る者の呼吸を奪うほどです。
教主様のその涼やかな双眸に見つめられたなら。
その凛とした声で話しかけられたのなら。
どんな者でも、たちまち教主様の虜になりました。無論、僕もです。
そのような美しい教主様が、ある1つの出会いをし、その出会いが教主様の人生をすっかり狂わせ、ひいては僕の運命をも丸っきり変えてしまいました。
その話を今から致しましょう。
少し、長くなるかもしれません。
いつも読んでくださって感謝です!
2016/9/15 ストコン「天才」佳作、ありがとうございました!