下らぬ話も漸く終わった。やっと肩の荷が降りたような、そんな気持ちでいる。満足感はさほどない。ただ疲れを感じている。
ここまで読んでいただいた読者諸兄にはお分かりのように、これは単なる、身分のない青年が旅の仲間を得る話である。
彼にとっては知らずとも良い話だが、あの後、教主率いる村は壊滅した。情けないことだが、教主少年が一人居なくなっただけで、村は明日の食べ物にも困った。誰一人として自立した思考を持った人間がいなかったのである。村人たちは三々五々山を下り、近くの町を襲った。はじめ、食料を呉れとせがんだのが聞き入れられなかった。仕方なく、村人たちは石を取り、薪を取り、町民たちを脅しにかかったが、体力のある町民たちにあえなく捉えられ、今は奴隷として使われている。

私は、町民の子として生まれた。奴隷となったサトリ少年とも出会ったことがある。あの村は皆美しかったから、どこそこの家の奴隷がどう美しい、といった噂がよく耳に入った。サトリ少年の噂はこうだ。○○家の奴隷は、青みが買った艶のある黒髪を持った少年で、真ん丸とした藍色の瞳は吸い込まれそうに美しい。ただし、その瞳は復讐に燃え、彼と話をすることはかなわない、と。

pagetop