「ナギのアホっ!起こしたげるとか言ってナギも寝ちゃったんでしょ!」
「寝とらん!起きてたが!」
「なら何でこんな山ん中に来ちゃってるんよ!」
「携帯のゲームが面白ぉてな。そいで気がついたら…」
「ドアホーっ!おまけにそれ私の携帯な!勝手に使うな!」
「落としたの拾ったげたんよ!『ありがとう』は?」
「……………」
真冬の夜、津山の街までボランティアに行った帰りの汽車。ナギにすすめられるまま一眠りして、揺り起こされたら見たこともない山の中だった。
とりあえず次の駅で降りて家に電話しようとしたら、ナギがゲームやったせいで電池切れ。まわりに何もない山奥の無人駅は、ナギが待合室のドアを壊したせいで氷のように寒い。そして戻る汽車は来る気配すらない…。
「なあ!山の向こうまで線路歩いて、おばあちゃん家に行こ!」
「はぁ?!」
ナギが言うには、一つ先の駅…長いトンネルで山を越えた向こうに祖母の家があるという。
けどだからって、なんでそんなムチャな…
でも、たしかにココにいても凍え死ぬばかりで、そして他にアテはない…。
大冒険、疑惑、衝撃、そして静かな感動が待つ、幼なじみの少女二人のドタバタ珍道中。
十代の文化系・オタク系な女子をメインキャラにして、ちょっと元気が出るお話を書いてます。迷ったり悩んだり疲れたりしてて「癒やされたい」「クスリと笑いたい」「元気をもらいたい」という皆様は特にぜひ!