既に黒猫は、身動きひとつ取る事は出来なくなっていた。意識は朦朧とし、感覚は遠くなっていた。恨む余裕もなく、また悲しむ暇もなく、黒猫は目を閉じた。次に目が覚めたのは、自分が元居た場所だった。傍らには、死んだ自分の遺体が転がっていた。そうして、知る。ああ、自分は死んだのだ、と。ところが、黒猫には身体があった。それも、今までの猫のそれとは違う身体。人間のものだった。訳も分からず歩いていると、黒猫はある人と出会う。黒猫が夢現のうちに関わっていた青年だった。
暴走すると止まらない母、レベッカ。性格がロンパリ気味の娘、ジェニファー。のんびり屋でいつも姉より賢い息子のクリス、ちょっぴり毒舌で悪戯好きな父、ジョージ。アレン家の食卓はいつも元気です。くだらないけれど、一生懸命生きている。五分で読める、『エセ』・アメリカン・ホームコメディー。今日も彼女らは、ニューヨークの『どこか』に住んでいるかもしれません。
仕事をクビになった帰り道。彼女は、『星を数えている』と話す、不思議な少年と夜の海で出会う。少年は当たり前のようにそこに居るが、何故居るのか、いつから居るのか、細かい事情を何も語らない。そこには、隠された理由があって……