人間になりたかった猫の話。三年くらい前に作った話です。
既に黒猫は、身動きひとつ取る事は出来なくなっていた。意識は朦朧とし、感覚は遠くなっていた。恨む余裕もなく、また悲しむ暇もなく、黒猫は目を閉じた。次に目が覚めたのは、自分が元居た場所だった。傍らには、死んだ自分の遺体が転がっていた。そうして、知る。ああ、自分は死んだのだ、と。ところが、黒猫には身体があった。それも、今までの猫のそれとは違う身体。人間のものだった。訳も分からず歩いていると、黒猫はある人と出会う。黒猫が夢現のうちに関わっていた青年だった。
にゃんこたちがゆるっと会話します。【アイコン屋めがぴこ】さんの画像を使用しています。http://megapico.main.jp/