「ナギのアホっ!起こしたげるとか言ってナギも寝ちゃったんでしょ!」「寝とらん!起きてたが!」「なら何でこんな山ん中に来ちゃってるんよ!」「携帯のゲームが面白ぉてな。そいで気がついたら…」「ドアホーっ!おまけにそれ私の携帯な!勝手に使うな!」「落としたの拾ったげたんよ!『ありがとう』は?」「……………」 真冬の夜、津山の街までボランティアに行った帰りの汽車。ナギにすすめられるまま一眠りして、揺り起こされたら見たこともない山の中だった。 とりあえず次の駅で降りて家に電話しようとしたら、ナギがゲームやったせいで電池切れ。まわりに何もない山奥の無人駅は、ナギが待合室のドアを壊したせいで氷のように寒い。そして戻る汽車は来る気配すらない…。「なあ!山の向こうまで線路歩いて、おばあちゃん家に行こ!」「はぁ?!」 ナギが言うには、一つ先の駅…長いトンネルで山を越えた向こうに祖母の家があるという。 けどだからって、なんでそんなムチャな… でも、たしかにココにいても凍え死ぬばかりで、そして他にアテはない…。 大冒険、疑惑、衝撃、そして静かな感動が待つ、幼なじみの少女二人のドタバタ珍道中。
【キャンペーン応募作】眠井朝華は無気力な中学二年生、けれど、彼女には特別な力があった……!!などと、大げさに紹介するも大して役に立つものでもない。ただ、他人の夢に入り込めるという能力である。幼少期に能力を無自覚に使いすぎた結果、孤立し見事に中二にして不登校寸前。保健室登校でどうにか出席を稼いでいたところ、一人の生徒が朝華の占領しているベッドの隣のベッドに入っていく。クラスメイトであるその生徒はどうやら本格的な不登校に近いらしく、たまたまその日に学校に来ていたらしい。すぐさま眠りについた生徒は夢の住人と化し、魘され始める。気になった朝華は久々に生徒の夢の中に入り込む。すると、そこには紫色の猫のぬいぐるみが居て、「ようやく、夢の使い方に気付いたのか」そんな事を告げられた。どうやら猫は夢の住人、悪夢に対してのワクチンのような存在で、あまたの悪夢。そしてくそねみまじかると呼んでいる少女たちを見てきた存在の一つらしい。朝華は猫のぬいぐるみに能力の使い方を教えて貰い生徒の悪夢を物理(夢)で終わらせる!!イイユメツールと呼ばれる悪夢に対して有効な武器(道具)は夢の主それぞれ、使い道すらわからないことがあるツールを駆使して朝華が戦う! 引き籠もり一歩手前の朝華が夢の中で本性のまま暴れ回り、その結果、現実でも少しずつ勇気を手に入れる。果たして、朝華はまともに人と目を合わせられるのか?夢と現実が交差するわけではない魔法少女っぽいストーリーが今始まるかもしれない。