古城を棲家にする吸血鬼レオンティウスには、リアという名の下僕がいる。血を吸われる糧として飼われているはずのリアは、主に対する敬意も畏怖も見せない困り者だった。※大人向けです。流血表現もあります。
小学校教員の久成の元に、初音という名の風変わりな嫁がやってきた。初音は一途で気立てのいい女だったが、久成はなかなかその顔を覚えられずにいた。明治時代後期を舞台にした、兄と兄嫁と妹の、奇妙さの中に息づく幸いの話。
「教えてあげようか。記憶を、封印しておく方法」――私は彼にそう言った。傷を抱えた少年少女が一歩前へ踏み出すお話。