「初めまして。こんにちは。私はずっと前からあなたのことが大嫌いです」交通事故現場で出くわした少女に、開口一番そんな言葉を浴びせられた大学生の都大樹(みやこ たいき)。続けて彼女は、数本の花を差し出しこう告げる。「被害者を救いたければ、この花を供えてください」少女の言葉通り花を供えた途端、視界に紫色の花びらが舞い……気付けばそこは、数分前の事故現場だった。ひとりの少女と花をめぐる、救済と別れの物語。こんにちは! 初めまして。前回『赤と銀のリード』を書かせてもらい、今回で二作目となります。前作は一気に完結まで書いてしまったので、今回は連載形式を取ろうと思いました。皆さんの関心を少しでも得ることができればうれしいなと思います。それでは、どうぞよろしくお願いします。
暁の大地と今は呼ばれるこの地。人間と獣の二つの姿と強い魔力を持つ山の民、人間、そして、人間と山の民の間に生まれ、やはり二つの姿を持つ魔道士と呼ばれるものが暮らしていた。 遥か昔、血で血を争う人間の戦乱に終止符を打ったのは魔道士の四兄弟。長兄はすべてを統べる暁の鷲の王。次兄は蒼い狼の王。三男は白い虎の王。末は黒き蛇の王。同じ姿を持つ者を王としながら長きにわたり魔道士の四王家がこの地を治めてきた。 だが、黒の王ザーナヴェルト・リヴァイスの反乱によって、この地にまた変化が訪れる。ザーナヴェルトは他の三王家を滅ぼし、唯一絶対の王となった。 これは、それから十七年後の物語。