「初めまして。こんにちは。私はずっと前からあなたのことが大嫌いです」交通事故現場で出くわした少女に、開口一番そんな言葉を浴びせられた大学生の都大樹(みやこ たいき)。続けて彼女は、数本の花を差し出しこう告げる。「被害者を救いたければ、この花を供えてください」少女の言葉通り花を供えた途端、視界に紫色の花びらが舞い……気付けばそこは、数分前の事故現場だった。ひとりの少女と花をめぐる、救済と別れの物語。こんにちは! 初めまして。前回『赤と銀のリード』を書かせてもらい、今回で二作目となります。前作は一気に完結まで書いてしまったので、今回は連載形式を取ろうと思いました。皆さんの関心を少しでも得ることができればうれしいなと思います。それでは、どうぞよろしくお願いします。
無垢な生娘が皇太子殿下の公妾志願!?――とある屋敷の地下に幽閉されて育ったリーゼロッテは、ある日皇太子側近のディーダーに類稀なる美しさを認められ、公妾候補となるべく宮殿へ連れていかれる。しかし皇太子のフォルカーは生真面目で潔癖。公妾などいらないと突っぱねられてしまう。あれこれ策を巡らせるディーダーだったが、リーゼロッテの美しさと純真さに密かに惹かれたフォルカーは誰にも秘密の逢瀬を彼女と繰り広げるようになった。やがて恋に堕ち合うフォルカーとリーゼロッテ。けれど頑なに公妾を認めたくないフォルカーは頭を悩ませる。そんなとき帝国の属国では何やら不審な動きがあって……!?登場人物リーゼロッテ・クライスラー(17歳)農村の領主の娘。珍しい髪や瞳の色のせいで忌み子として扱われ、地下に幽閉されて育った。フォルカー・コルネリウス(26歳)モンデグリー帝国第一皇子、次期皇帝。温厚だけど生真面目で頑固。属国の姫と政略結婚のため婚約している。ディーダー・グレーデン(32歳)宮殿侍従次長。フォルカーの側近。策略家だがふざけ過ぎるのが玉にキズ。