中学校では誰もが噂する女の子だった。高校生の頃は地域で一番の美少女になった。大学では4年間で90人から告白された。そんな私は、今。「…………」駅からもコンビニからも遠いアパートで、グータラとフリーターをやっている。顔で評価される世間に嫌気が差し部屋に引きこもった私を両親は許さず、家から追い出され泣く泣く一人暮らし。深夜のドーナツ屋でバイトをしているおかげで目覚めるのはいつも夕暮れ時。過ぎ去る日々はひたすらぐーたら。これはこれでいいかも、と、思っていた。「初めましてっ。隣に越してきました、紀田 健太郎です!」そんな私は、出会ってしまった。コミュニケーション能力と男子力と女子力を限界値まで極振りした最強のお人好しと。彼と、彼を取り巻く不思議なわかもの達との出会いは、私の人生を、ささやかに、ゆっくりと、変化させていく。
ある日、僕らの村に所属不明の召喚士達が襲ってきた。村の大人たちは僕ら十六歳以下の子供を見捨て行ってしまい召喚士達は大人を追わずに僕たちを殺そうと魔物を召喚し始める。そこで僕の記憶は途切れてしまっていた。気が付いた時には僕は何処か知れぬ砂漠のど真ん中に突っ立ていた。右も左も分からない僕は当てもなく歩き回ったが、オアシスどころか人っ子一人見当たらない。日差しを避ける場所もなく水も食料もない僕は三時間としないうちにその場で倒れてしまう。僕はここで死ぬのかと諦めていたその時、音もなく僕を囲むように、砂の中から大型サソリが現れる。絶体絶命の名のなき十六歳の主人公。だがその時だった。主人公を救うため現れたのは、ある伝説の女の子いや、龍だった。名のなき主人公の冒険はここから始まった。