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かつて魔王がこの世の影に君臨していた頃、世界の各地で混乱が起きていた。──曰く、魔王の配下である灼眼の竜が村の娘を生贄に求めた。──曰く、魔物の大群に街一つを占拠され何もかもを奪われ蹂躙された。──曰く、魔王軍の労働力として酷使され屈辱的な日々を過ごした──とはいえ猛き者も遂には滅びぬ。異世界から召喚された勇者たちによって魔王が討伐されると、暴虐の限りを尽くした魔物共は瞬く間に鳴りを潜め世界に平和が訪れた────はずだった……──光差すところ影伸びゆくは常世の定め。魔物が消えた世界で新たな脅威が明るみに出た。それが、神々によって呼び出された異世界からの転生者たちである。──曰く、ふしぎなちからによって町中の女達がハーレムにされてしまい男(特に夫達)が泣いている。──曰く、ダンジョンを根こそぎ踏破されるので冒険者達の稼ぎが無くなり貧困化が進んでいる。──曰く、転生者に助けてもらった友人が病的なくらい崇めるようになりなんか気持ち悪いから縁を切りたいと思っている──神の力を持つ人間達に、悩める神に悩める異世界。『目には目を――』とバビロン王よろしく、転生者から世界を救うため神は“新たな転生者”を呼び出す――巨悪滅びれば正義が転じて悪になる?勇猛無比なる主人公、敵に回れば恐ろしや!いじめられっこに落ちこぼれ、ニートに非モテにその他諸々転生させてあげたのに、勝手なことしちゃいけません!さあ行くのです新・勇者!世界に仇を返す転生者をどんどんしまっちゃう系ドンパチパーティヒロイックバトルファンタジー開幕! したいんだけども……ホラホラ起きてリクトくん! 「あと5分」じゃないの!キミ主人公でしょ!?
レフポラン連合王国には騎士団がある。号して、金翼騎士団。そのすべてが有翼重騎兵によって編制されている精鋭中の精鋭。なれども肝心の騎士団員は、自嘲をこめて笑う。金翼の誉れ高き記しなれど、我らは一人残らず金欠なのだ、と。王侯貴族、騎士、姫君、或いはその他もろもろ。華やかなりし宮中文化と後世の歴史家が語ろうにも、彼らの現実は非常に世知辛い。見栄を張るのに金は欠かせず、さりとて金の湧き出る魔法の壺など御伽噺。金欠騎士団と自嘲する彼らの敵は、金である。金である。そう、どこまでも金なのである。だが、それは彼らに限った話でもないのである。ああ、それにしても、金の欲しさよ。そんな世の中に颯爽と現われたのは、『一人の清貧を重んじ、名誉を重んじ、騎士道を重んじることを誇りと考える騎士』……と称する一人の守銭奴である。※本物語は、フサリアと騎兵と、騎兵とフサリアに対する愛で構築されています(。・ω・)ゞ