ごきげんよう
夏休みの最終日、桐原夏生(きりはらなつき)は交通事故に巻き込まれ、命を落としてしまう。しかし、死後の世界に渡る直前、猛虎(たけとら)を名乗る関西弁の犬から赤い表紙の日記帳を手渡される。この日記をきちんと埋めれば命を助けてくれるという猛虎に同意し、夏生はもう一度夏休みを初めからやり直すことになる。 前の人生で起きた出来事を同じように繰り返さなければ世界の『因果律』が崩れて世界が崩壊してしまうという猛虎の言葉に従って自分が経験したとおりに夏休みを追体験していた夏生だったが、彼には一つ心残りになっていることがあった。 あの日、あの時、彼女に言った言葉。それを変えてしまったら世界の『因果律』は崩れ、崩壊してしまうだろうか。それでも夏生には彼女に伝えたい言葉があった。