「ここは、死んだ誰かの身代わりになることができる場所です」いつの間にか訪れた見知らぬバーのバーテンダーである少年・水樹に言われた奇怪な一言に戸惑う冬弥。だが、次第に美由という大切な恋人のことを思い出す。美由との幸せな日々と、それを一瞬で消し去った大事故。それは後悔することすら許されない、あまりにも一瞬の出来事だった。冬弥と美由のすれ違った思いが、バー・アルケスティスで交錯する。
寒い大雪の日。体調を崩したみのりが学校を早退してくると、母親がいるはずの家には鍵がかかり、なぜか雨戸までが固く閉ざされていた。家の前にうずくまっているところを通りがかりのお姉さんに助けられ、みのりはそのお姉さんのアパートに落ち着く。同じ「みのり」という名前で、顔もみのりによく似ている…そんなお姉さんが、みのりの性格や趣味、そして誰にも言えないでいる悩みまで次々に言い当ててくる…。あなたの生きづらさや将来への不安をきっと癒やしてくれる、心温まる短編SF。