とある世界に女性がすべての、力と地位と名声と、そして健康と長寿を約束された子供を出産することが出来、幸せな人生を約束される国があった。その女王家のファミリーネームはエクレール家。そして代々のエクレール家の女性はとある約束されし男性がいるという。”女神の皇子”という二つ名を与えられた男性を虜にした女性は、その国の女王となり、すべてを手に入れることが出来るという。だが当代の”女神の皇子”は女性とのセックスはあくまで愛を確かめるもののためで、ただ一人の女性と共に幸せを共有したいという考えの男性だった。だが、ある日、女神の皇子はそのエクレール家の権力争いに巻き込まれてしまう。その男性の名はエリオット・アルテミス。月の女神・アルテミスを祀る、健康と長寿の霊薬と云われる男性だった。
無垢な生娘が皇太子殿下の公妾志願!?――とある屋敷の地下に幽閉されて育ったリーゼロッテは、ある日皇太子側近のディーダーに類稀なる美しさを認められ、公妾候補となるべく宮殿へ連れていかれる。しかし皇太子のフォルカーは生真面目で潔癖。公妾などいらないと突っぱねられてしまう。あれこれ策を巡らせるディーダーだったが、リーゼロッテの美しさと純真さに密かに惹かれたフォルカーは誰にも秘密の逢瀬を彼女と繰り広げるようになった。やがて恋に堕ち合うフォルカーとリーゼロッテ。けれど頑なに公妾を認めたくないフォルカーは頭を悩ませる。そんなとき帝国の属国では何やら不審な動きがあって……!?登場人物リーゼロッテ・クライスラー(17歳)農村の領主の娘。珍しい髪や瞳の色のせいで忌み子として扱われ、地下に幽閉されて育った。フォルカー・コルネリウス(26歳)モンデグリー帝国第一皇子、次期皇帝。温厚だけど生真面目で頑固。属国の姫と政略結婚のため婚約している。ディーダー・グレーデン(32歳)宮殿侍従次長。フォルカーの側近。策略家だがふざけ過ぎるのが玉にキズ。