昨今、巷を賑わせている事件がある。殺され、その遺体の一部が持ち去られるという事件だ。被害者が皆、女性だということも賑わせている要因だろう。事件を追っていた大庭晴紘(おおば はるひろ)の同僚もその毒牙にかかる。自分にはなにもできない。あの日、彼女の近くにいたのは自分だったのに。自分にはなにも見えてはいなかった。失意の底に落ちていた彼に、少女は手を差し伸べる。「過去を、お見せします。ただし、見るだけ――」
『あなたがどんなに否定したって、冷たいものは冷たいし、痛いものは痛いんだ』どこかぎこちなかった姉妹が、あるべき姿を取り戻す物語。
雨の止まない街。ここ最近、その街では殺人事件が相次いでいた。村崎月代は、殺人現場の近くで同級生の須森省吾を目撃し……