「……なんで、照れてるの?」「そんなに顔を真っ赤にさせてさ。期待、するけど?」塀に並んで腰かけ、アイスを食べる私と、同じ高校の彼。いつもとは違う様子の彼にドキドキしっぱなしで……これは、ある夏の日の甘い恋の物語。
松浪 綱吉(まつなみ つなよし)17才。通称”ツナ”自分が他の連中と違うところと言えば ――恋愛の対象が同性だって事だけ。それ以外はそこいらにいる高校生男子とほとんど変わらないし。この先、程々の大学へ進学してごく普通に卒業し、程々の会社に就職して、ありきたりな人生を歩んで行くもんだとばかり思っていた。この物語は、幾多の困難にもメゲず、祖父の意思を継いで、総構成員数約1万5千人の頂点に立つ事になった青年の愛と苦悩と成長の記録である……なんちゃって。
今、飛ぶ鳥を落とす勢いでスター街道爆進中のカリスマモデル・神宮寺ミオと主人公・小鳥遊 洵(たかなし まこと)は、ごく短期間であったが同じ養護施設で育った幼なじみだ。そんなミオは時々ぷいっと姿を暗まし、何日も行方知れずになる事がある。ミオ、曰く ―― 何とかのいぬ間に命の洗濯、だそうだが……事務所の社長さん自ら”ミオの身代わりでカメラの前に立ってくれ”と言われた時は、流石の洵もどうなる事か?と、かなり肝を冷やしたものだが。人間、なにごとも慣れというのは恐ろしいもので……。