因幡稲葉はある朝、自分の記憶が丸一日抜け落ちていることに気がつく。そこから彼女の周りに不思議な出来事が起こり始める。
昨今、巷を賑わせている事件がある。殺され、その遺体の一部が持ち去られるという事件だ。被害者が皆、女性だということも賑わせている要因だろう。事件を追っていた大庭晴紘(おおば はるひろ)の同僚もその毒牙にかかる。自分にはなにもできない。あの日、彼女の近くにいたのは自分だったのに。自分にはなにも見えてはいなかった。失意の底に落ちていた彼に、少女は手を差し伸べる。「過去を、お見せします。ただし、見るだけ――」
【ディストピア暗黒小説】 パラレルワールド近未来、壁で囲まれた街で起こるおぞましい連続猟奇殺人。欲望と暴力のダークファンタジー。