「まぶたの裏道で奴が暴れるぅ~」



 !?



 突然のドウサンの奇声に、優と河岡は目を丸くした。あの怪しい粉のせいだろうが、ドウサンに何が起こっているのか分からなかった。



「……面白ぇ、とか言ってる場合じゃねぇか。一旦、様子看るから、優さんは、他と合流してくれ」


 河岡はドウサンのことは任せてくれと言い、優に他の場所を調査するよう促す。

 まぶたを掌でこすりまくるドウサンは床に背を付け転がり回る。河岡はあまりにも心配で看病することにしたが、対処方は全くない。なんとなく背中をさすったりしてやったが、ドウサンはまだまぶたの裏に何か感じるらしい。



「でんぷん頂戴でんぷん頂戴でんぷん頂戴」



 ドウサンはまぶたをひとしきりこすり倒した後、やたらとデンプンを欲しがりながら、本棚の一つを探しまくる。河岡も一緒に探してあげた。

 ■運命値+3



 当然そんなところにデンプンなどなく(まぁあったところで治るとは思わないが)、そのまま奇声をあげながら書庫を猛烈なスピードで飛び出して行った。



「ぶびぷふぇれぇけけけけけぁっ!」



 その奇声が書庫に聞こえなくなるまでは暫く時間を要した。

 優はドウサンを探しに教会に来ていた。
 だがヤマノは居たがドウサンはここには居ないようだ。ヤマノにドウサンの事を話した。ヤマノは封がされた手紙の事を話す。そしてそれを今から開けるらしい。

君達を導くのは

彼女であり

君達の最後を見届けるのも

彼女の務めだ。



その剣は道を切り拓き

そして

鐘が鳴り終えれば

剣の行き先は

これを読む君達に向かう。



『レジエレール・クァース』

 ヤマノと優は無言で手紙を読んだ。
 君達を導くのは彼女。



「これってナビゲーターの事かも。掲示板で見たんです、ナビゲーターがいるって……」

 優は先程掲示板で見た情報をヤマノにも伝え、この文章がナビゲーターについて書かれている事だと推測した。

 そしてどうやらそのナビゲーターが自分達の最後を見届けるらしい。



「で、次の文が『その剣』か……。後の文も考えるとこの彼女っていうのは、私達の知る人物」

 ヤマノは既に断定していた。優はヤマノの次の言葉を待った。



「白の処刑人だよ。彼女は鐘が六つ鳴れば剣の錆にすると言った。それは、手紙にある剣の行く先であり、一つ目の文の見届けるにも繋がる。最終的には白の処刑人が私達に手を下すんだろうが、それまでは彼女はナビゲーターとしての役を担っているんだ」

 優はヤマノの推測を聞き、100%納得した。最後の言葉の意味は流石に分からない。だがもう一度暖炉のある部屋に向かい、情報を聞くのも視野に入れなければならないと返事を返した。

 〇封がされた手紙を失った。



 そして何かありそうとヤマノが言うこの教会に目を馳せる。

 やはり何もない。どこかに脱出の手掛かりになる何かがありそうなのだが。おそらく自分には見つけられないと感じ、優はヤマノと共に教会を後にした。

 アスカはまず格子窓を確認する。
 格子窓から入って来た風が、そっとアスカの頬をかすめ入口に流れる。外は昼。格子窓はがっちりと作られ、簡単に開ける事は出来ない。ここからの脱出は諦めた方がいいだろう。

 そしてアスカが気になったハープに触ろうとすると、金の髪の女が前に出てきて首を振った。どうやら触られたくないのだろう。

「こんにちは、私はアスカと言います。あなたはこの館の方ですか?」

 アスカは金の髪の女に軽く会釈を返しんがら言った。
 金の髪の女は相変わらず笑顔を絶やさなかったが、何も話さない。いや話せないのかもしれない。金の髪の女はアスカに好意的な眼差しを送ったあと、その美しい金の髪をなびかせハープの前に座った。そしてハープを奏で始めた。

 心地の良い旋律は、この館からの脱出などどうでもよくさえ思わせるものだった。アスカは音色に心を遊ばせ目を閉じる。このまま目を閉じてしまっては、もう帰ってこれない。心地良さの奥の奥に、そんな危機感があるがもう自分ではどうも出来なかった。



「彼女は何者だ?」

 ハープの音色に引き付けられてか、優とヤマノもこの部屋にやってきたのだ。アスカはハッと目を開けて、部屋に入って来た二人の顔を見た。言い知れない危機感は説明し難く、アスカは時間差で溢れてきた冷や汗をぬぐうしかなかった。

 優とヤマノは少しの疑問を抱えながらも、部屋の確認をする。格子窓、ハープ、金の髪の女。この状況は分からないが、特に脱出に関わる重要なことはなさそうだ。

なんかやばくねぇか。
出た方がいいぜ。
気になりゃ
またくりゃいいじゃねぇか。

 ナビンがめずらしく消極的な事を言う。アスカはまだ部屋を見回す優とヤマノの手を取り、いそいそとこの部屋から出た。

 入室者は強制退室。
 次回最初に移動でどこかの部屋へ移動すること。

「遊ぶなっていわなかったじゃん」
「何か蝋燭灯せるものないかな……」

 優とリンはそれぞれ独り言を漏らしながら、この遺跡で合流していた。そしてこの遺跡を一緒に調査することにした。
 確かにかなり古い建造物だ。この地下遺跡があった場所にあの館が建てられたと考えるのが自然だろう。
 壁、床、柱、全てが石で出来ている。それに誰かいるのだろうか、あちこちに松明が置かれてこの遺跡を明るく照らしている。壁にはあちこちに見た事もない文字がビッシリと敷き詰められている。

 優が遺跡全体を眺める。遺跡の最奥の壁には、黒い棺が立て掛けてあった。金で出来た装飾が荘厳さを醸し出していたが、容易に蓋を開けてよいものだろうか。

 ⇒ 黒い棺をスポット調査可能になった。



 リンも次いで眺めてみたが、他に特筆すべき場所はない。

 リンは黒い棺を遠目に見ながら、少し緊張をほぐそうと肩と首を回し力を抜いた。

 ■運命値+1

 竜喜は手に持つ赤いカプセルを飲んでいた。
 力が湧いてくるのがすぐに実感出来た。そしてすぐに地下聖殿の方へ足を向けた。

 次回アクション+2、移動+2
 〇赤いカプセルを失った。

 竜喜が地下聖殿に入ると、荘厳な景色が広がって見えた。地下にこれだけの広間があると思わなかった竜喜は、その荘厳さに圧倒された。部屋の左右には本棚がある。

 一通り荘厳な部屋を眺め終わったと思った時、竜喜は意外なものを発見する。入ってきた入口側の壁に、直接、絵が描かれている。

 あれは血液……血で出来た翼だろうか。荘厳で美しいこの聖殿に似つかわしくない禍々しさだ。

 血の翼を持つ女性画をスポット調査可能になった。



 そしてその禍々しさに圧倒されないように、先ほど手に入れた黒いカプセルを一気に喉の奥に放りこんだ。

 痛い!

 頭が痛い!



 血の翼を持つ女性がが見下ろしてきているように思えるこの場所で、竜喜は痛みに我慢出来なくて膝を付いた。



 そして一際大きな痛みが襲ってきた。



 直後、先ほどまでの痛みが嘘のように一気に痛みが引いた。竜喜は立ち上がり、五体満足であることを確かめる。



「レジエレール・クァース」

 竜喜の頭の中に突然、聞き覚えのない言葉が浮かんだ。

 ▼センス・古代語を入手した。
 〇黒いカプセルを失った。

1回移動と
3回アクション可能

【各部屋でのアクション】
室内調査  :部屋全体を調査
スポット調査:特定の場所を指定して調査
アイテム調査:アイテムを調査
アイテム使用:対象を指定してアイテム使用
センス使用 :特定の対象を選択しセンス使用
手番スキップ:任意の回数手番をスキップ


【マップ】どの部屋からでも移動可能
暖炉のある部屋
 寝室    ◎調査済み
 調合室   △鍵が掛かっている
 書庫
 食堂    ◎調査済み
  酒樽倉庫 ◎調査済み
 教会
 階段室   ◎調査済み
  螺旋階段 ◎調査済み
   地下聖殿
   地下遺跡
  格子窓の部屋


【スポット調査】
暖炉のある部屋
 ☆室内調査

書庫
 ・適当に手に取ってみる
 ・掲示板

教会
 ☆室内調査

格子窓の部屋
 ・金の髪の女

地下遺跡
 ・壁の文字
 ・松明
 ・石の柱
 ・黒い棺

地下聖殿
 ☆室内調査
 ・大理石で出来た床
 ・左右にある本棚
 ・階段上     
 ・血の翼を持つ女性

竜喜    
▼センス  夜目 洞察力 古代語
●アイテム 金色の鍵
■運命値  11
 次回アクション+2、移動+2

アスカ
▼センス  薬学
●アイテム 白い粉末
      邪気を帯び浮遊する遺物
■運命値  2


▼センス  器用な指先
●アイテム 赤き蝋燭 黒の書
■運命値  5

ドウサン    
▼センス  才能識別
●アイテム 
■運命値  -5

ヤマノ    
▼センス  トラブルメーカー 強運
      元FBI(アクション常時+1)
●アイテム カード・スペード
■運命値  2

リン    
▼センス  夜目
●アイテム 
■運命値  13

河岡    
▼センス  薬学 アイテム詳細識別
●アイテム 青い指輪のネックレス
■運命値  10

ちょっと進んできた感があります。

(10)【行動】
竜喜  螺旋34赤いカプ、地下聖殿、室内、黒カプ
アスカ 格子60格子窓、ハ-プ、金髪
優   書庫50教会、室内、格子窓、全部、遺跡、室内
ドウサン書庫69ラリパッパ
ヤマノ 教会18封がされた手紙、格子窓、全部
リン  教会41地下遺跡、室内、スキップ
河岡  書庫68スキップ×3

   【バッティング結果順】
遺跡調査   優、リン
格子窓全般  アスカ、優、ヤマノ

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