ミーンミンミーン
ミーンミンミーン

ミーンミンミーン
ミーンミンミーン

 私は夏が嫌いだ。

 夏はセミがうるさい。それと梅雨が明けてジメジメとした湿気に照り着く太陽が嫌いだ。

 けれど夏にしか出来ない事は好き。

 夏祭りにキャンプ、家族と楽しく過ごす。海水浴とか市民プールで新しい水着を着て自由気ままに泳ぐ。花火大会で打ち上げられる花火はとても綺麗だ。

 食べ物は格別だ。スイカ、かき氷、アイスクリーム、冷やし中華、そうめん、ざる蕎麦、夏野菜のカレーやうな重などの夏バテ解消料理が美味しい……。

 まあ、今は全く興味ないけど。

 そんな事より、今年は――

少女

この夏こそは

少女

出来るかな

 少女は入道雲の動きに合わゆっくりと歩き出した。歩いていると入道雲は動いていないように見える。

 何の考えず歩くつまりだったが、そういう訳にはいかなかった。

 私は出来るだろうか?

 いずれ夏は終わる。それまでにやれる事はやってきた。

 けれど、不安がある。

少女

暑いな

 私には体力がない。そのせいか貧血になりやすい。体育の授業も休みがちだ。

 本当は受けたい。けれど体がついていかない。だからこうして少しでも体力を付けようと、この暑い中、歩いている。

 後ろから多くの足音と掛け声が近づいているのが聞こえた。その音は歩いている少女の走って追い抜いていった。少女を追い抜いたのは何かしらの運動部だろう。

少女

――あっ

少女

良いな、私も出来たら良いな

 運動部の練習だろうか? ああやって、みんなで一つの事を頑張る。そんな事してみたいな。

 本当、私に体力があればな。

少女

まあ、そんな事より

少女

私には――

少女

私には時間がないんだ

 そう、私には時間がない。夏が終わる前にやらなければいけない事がある。

 それは……どうしても、やらなければいけない。

少女

このままだと――不味いよね

 物事を考え、足を止まらず歩いる合間も時間は動いている。そんな事は当たり前だが少女にとって時間は重要だ。

 残る時間は決まっている。

 去年は上手くいかなかった。

 結果、私は後悔した。

 だから、今年こそは上手くいくだろう。

 少女は足を止めて空を見上げた。

 空を見上げると、いつも目に入っていた大きい入道雲がゆっくりと動いているのがよくわかった。

 そして、現実に戻される。

 そう、どうしても夏が終わるまでに、やらなければいけない事それは――

少女

夏休みの宿題

 今年こそ夏休みの宿題を終わらす事をあの堂々と泳ぐ入道雲に少女は誓った。

 そして、少女は再び歩き出した。

 夏休みが終わる一週間前に……。

ミーンミンミーン
ミーンミンミーン

ミーンミンミーン
ミーンミンミーン

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