大宮との同時攻撃によって、

敬介は三幻僧の最後の一人である幻角を倒した。

戦いの最中はとてつもない土砂降りだったが、

今ではすっかり止んでいる。

敬介は大宮と一緒に、

離れて戦っていた矢島と美咲を探していた。

天野さーん!!
矢島さーん!!

見当たらないな。

あっちに行ってみよう。

ああ。

楽坂公園の噴水の近くで探していたが、

なかなか見つからないので、

場所を変えてみることにした。

二人も決死の戦いでボロボロではあったが、

仲間の安否が気になっていた。

何か出てくるぞ。

境界面から出てきたシャドーか。

茂みの奥から危険を察知し、

二人は素早く戦いの姿勢をとった。

やっと出れたー!!

あ、天野さん!!

敬介と大宮が生唾を飲み込み、

茂みへと注視していると、

その中からは美咲が飛び出てきた。

形山君!!
それに、大宮君!!

大丈夫だった?

うん。
私は大丈夫だよ。

それより手伝って!!

自分は無事だと伝えると、

ハッとした美咲は、

先ほど飛び出てきた茂みに敬介と大宮を手招いた。

美咲が茂みを広げると、

こちらに向かって歩いてくる人物が2人いた。

矢島さん!!

よかった。
敬介君も剛君も無事だったんだね。

血だらけじゃないですか。
それと隣にいるのは?

俺は刑事の島本だ。
訳あって、ここにいるが敵じゃない。
形山君、君とは一度会ったことあるね。

学校に来た刑事さん!!

茂みの奥からやって来たのは、

島本と彼に肩を借りて歩いていた矢島だった。

茂みから出てくると、

島本の方を離れ矢島は一人で立った。

幻流との戦いの最中に光一さんと私は別行動だったんだけど、その時に境界面から出てきたシャドーを倒していたら、島本さんと会ってね。
それから、光一さんと合流したら一人で歩ける状態じゃなくて困っていたら、島本さんが手を貸してくれたの。

そうなんだが。
実は俺は君達を……、
正確には形山君を監視していたんだ。

俺を?

お前何かやったのか?

してねぇよ!!

最近この町で起きていた連続失踪事件や、高校の爆破事件に君が関与していると睨んでいてね。そのために尾行していたんだ。
学校で会った時にも、君が何か隠しているような気がしてね。

かなり目を付けられてんだな。

だが、今日の君達の戦いを見て疑いはさっぱりなくなったよ。
君達が相手にしていたやつらが今までの事件の黒幕なんだろ?

おそらく、
そうだとは思うんですけどね。

そういえば、やつらの目的ちゃんと聞いてなかったような……。

そんな余裕なかったからな。

だけど、調べたほうが良さそうだね。

けど、どうやって?

たしかにな……。

三幻僧は倒せたが、

彼らの目的や町で起きた事件との関連性を知るには、

それなりの調査を行う必要があるため、

その道の素人である敬介ら4人は口を閉ざした。

もしよければ、
俺に調べさせてくれないか?

え?

さすがにこっちの世界に踏み込むのはマズいだろ。

うん。
危険な目にも会うかもしれないし……。

そうだね……。

俺も刑事だ。
君達のようにはいかないが、町や人を守りたい気持ちは一緒だと思っている。

島本さん、明日このことについて返答しますので、お時間を頂けませんか?

ああ、わかった。
これが俺の連絡先だ。
では、これで失礼するよ。

島本はそう言って矢島に名刺を手渡すと、

そのまま楽坂公園を出ていった。

島本が去ってから10分程経過し、

敬介ら4人は噴水の近くにあるベンチに座っていた。

矢島さん、明日返事をするって言ってましたけど、どうするんですか?

うん。
そのことなんだけど、
おそらくもうすぐ……。

よっ。
お前ら全員無事みたいだな。

おっさん!!
俺達が大変な時に何してたんだよ?

落ち着けって。
相変わらずうるさいな敬介。

何だと!!

でも、三幻僧に勝ったんだろ?

まぁな。

ふっ。

なんか懐かしい感じのやりとり。

だね。

お前を光術士にして良かったよ。

な、なんだよ急に。

まぁ、気にすんな。

敬介は光術士としての自分を認めてもらえることが、

とても嬉しいが恥ずかしさから素直に喜べなかった。

そして、

敬介には戦いを終えて感じたことがあり、

三幻僧と自分達を比較して思ったことであった。

俺達が勝てたのは仲間がいたからさ。

天野さん。

矢島さん。

そして、大宮。

仲間がいてこその勝利だったんだ。

まぁ、お前はまだまだだけどな。

てめぇ!!!!

若い光術士たち4人の声が楽坂公園に響いた。

そして、

ここはとある場所。

密偵からの報告ですが、
カラウが育てたやつらが三幻僧を倒したらしいです。

何だと?
正統ではない者共に、これ以上好き勝手はさせられん!!

それに、
その中にはあの大宮家のご子息もいたとか。

そうか。
やつの息子は光術士になったんだな。

しかし、
『認証試練』はまだのようですよ。

まだだったのか。
1週間後、
緊急の『認証試練』の実施だ。
もちろん、カラウの育てたやつらもな。
後はお前に任せる。

承知しました。

第2章---三幻僧編--- END

第2章---三幻僧編---(60話)-仲間-

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