三幻僧との戦いから3日目の夜。

敬介の戦いの傷も思ったより早く癒えてきていた。

しかし、

戦いの最中深手を負った矢島と大宮は、

絶対安静のためカラウから日常の任務を外された。

そのため、

ここ3日は敬介と美咲でシャドー退治をしている。

これで大丈夫かな。

今日も無事終了。

じゃあ、そろそろ帰ろうか。

そうだね。

一般人にシャドーの姿や光術は見えていないのだが、

繁華街となれば遅い時間でも人は歩いているので、

素早く倒さなければならない。

三幻僧との戦いを経て、

その慎重さや速度も格段に成長していた。

そういえば、
天野さん女の子なのにこんな遅くまで親とかは大丈夫なの?

大丈夫だよ。
私一人暮らしだし。

一人暮らし?
すごいな。
俺ん家は母さんが厳しくて、夜に家出る言い訳を先輩の家で勉強ってことにしてるから、成績上がってなかったらヤバいんだよな。

じゃあ、勉強しないと大変だね。
そうだ。
もう少しでテストあるし、良かったら対策ノート貸してあげよっか?

いいの?
貸して、貸して!!
すごい助かる!!

そしたら、明日学校で渡すね。

明日学校でノートを借りる約束をし、

今夜の任務を問題なく終了した。

翌朝の学校では、

さっそく敬介が美咲のノート借りるのに廊下で話していた。

はい、どうぞ。

ありがとう。
マジで助かる。

美咲からノートを受け取ると、

パラパラめくって中身を見渡す。

テスト失敗して、形山君が任務に就けなくなったら困るからね。

天野さんの作ったノートだから、これがあれば大丈夫さ。

なら、よかった。
そういえば、光一さんも大宮君も傷は良くなったかな?

せっかくだから、
お見舞いにでも行ってみようぜ。

それ、いいね。

あ!
でも、そういえば家知らないな。
天野さんの家もだけど。

本当だ!
プライベートでは皆付き合いないもんね。

あれだけの死闘を共にしたのに、けっこうお互いの事知らなかったんだな。

秋野実神社に行ってみない?
もしかしたらカラウ先生が何か知ってるかもしれないし。

よし。
じゃあ、放課後に秋野実神社に行こう。

学校も終わり放課後になったので、

敬介と美咲は揃って秋野実神社に訪れていた。

おっさんいるかー?

カラウ先生ー?

到着後にはいつも通り、

カラウを探す所から始める。

どうでもいい時はいきなり出てくんのに、必要な時は全く見当たらないよな。

自由な人だからね。

美咲。
そこは否定しないと、俺がどうでもいい時に出てくるってことになるが……。

カラウ先生!
ごめんなさい、全然気づかなかった。

急に出てくるの心臓に悪いから止めろよな。

急に現れたカラウに驚いた二人は、

揃って胸を撫で下ろす。

それより、俺に何の用だ?

矢島さんと大宮の家聞こうと思ってさ。
あんたなら知ってるんだろ?

形山君とお見舞いに行こうかと思ってるんです。

美咲は手に持っていた小さな花束を見せた。

知らんな。

なんだ、知らねぇのかよ。
じゃあ、帰るか。
今夜もシャドー退治だしな。

そうだね。

知らないと聞くと、

二人は立ち去ろうとカラウに背を向けて歩き出した。

なんかそっけないな、お前ら。
それと、三幻僧の調査は本当に自分達でやらないのか?

カラウの問い掛けに、

二人は一旦立ち止まり振り返る。

ああ。
島本さんに任せたからな。
あの人は信用できそうだし。

光一さんも助けてくれたもんね。

三幻僧との戦いの後、

島本から三幻僧らの目的について調べたいと言われ、

カラウと相談した上で依頼することになったのだ。

子供は純粋だな。
大人を簡単に信用したら、その内痛い目見るぞ。

あんたよりは真面目な人だと。

あ~あ。
分かったよ。
じゃあな。

カラウは呆れ顔で手を振ると神社の裏手へと歩いていった。

そして、二人も神社を出て行く。

結局お見舞いに行けなかったな。
よしっ、夜に備えて少し眠るか。

お見舞いに行けなくなってしまったため、

敬介は帰宅し自室へと入った。

かばんを床に下ろし、

机の上に置いてあるものに目がいった。

ん?
なんだこの封筒。

開けてみっか。

 

形山 敬介 様

この度、正統な光術士を認証するための

『光術士認証試練』を実施することとなりました。

つきましては、下記の日時にご参加下さい。


実施日:○○月△△月□□日
時刻:15時
場所:夕暮れ灯台


※なお、参加を辞退することは許されません。


光術士統一協会「灯」

認証試練?

第3章--認証試練編--(61話)-黒い封筒①-

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