大宮が倒され、

怒りが爆発した敬介は乱撃によって、

幻角へかなりの手傷を負わせることができた。

しかし、

戦いの最中に横たわる幻重を発見した幻角は、

影吸面で幻重の影力を全て取り込み、

傷は消えダメージが完全回復してしまった。

お前、仲間を取り込んだのか?

仲間?
まぁ、そうだ。
俺の駒って意味でのな。

どこまで腐ってるんだ。

簡単に仲間を犠牲にする幻角の行動は、

敬介には全く分からないことで、

敵ながら取り込まれた幻重への悔しさが込み上げ、

右拳を強く握った。

あ?
てめぇも甘ったれた野郎だ。
幻重にとどめをさしておけば、俺が全快になることもなかった。

くっ……。

敬介が一瞬視線を逸らすと、

その隙を突いた幻角が先手を取った。

打面連打掌(だめんれんだしょう)!!

かはっ!!!!

幻角は荒々しく、

とにかく敬介を痛めつけた。

立て。
なぶり殺してやるよ。

はぁっ……。

あっという間に形勢は逆転し、

敬介の体からは光力が漏れ出して、

防御のための自己防衛もままならない状況である。

まだだ……。

俺達シャドーと光術士の戦いは、
60年前と同じように、てめぇらの敗北が決まってんだよ。
仲間は倒れ、お前はもう一人だ。

…………。

なんとか気力で立ち上がる敬介だが、

幻角は余裕から笑みを浮かべ、光術士を嘲笑った。

…………。

目を閉じ涙を流すとは。
死ぬ覚悟でもできたか。

敬介は目を閉じ静かに涙を流しながら、

その場に立ち尽くした。

なら遠慮なく殺すぜ。

…………。

幻角が敬介に聞こえるように声を出しても、

目を閉じたままの姿勢を崩さない。

ようやく終わりの時を迎えることができると、

仲間を2人失っていても、

幻角は終始不気味に笑みを浮かべてる。

オラッ!!!!

…………。

何!!!!

幻角の背後より突如として光力の塊が遅襲い来る。

しかし、

突然の奇襲のために反応がわずかに遅れた。

ぐっ…………。

攻撃を回避できなかった幻角は、

かなりの深手を負った。

そして、自らを襲った光の先に視線をやった。

はぁ、はぁ…………。

てめぇ……。

視線の先には、

幻角に敗れ死んだと思われていた大宮が立っていた。

しかし、

敬介同様気力で持っているような状態である。

大宮。
生きてたんだな。

ああ。
俺はまだ死ぬわけにはいかねぇからな。

あれだけの攻撃を受けながら、
生きているだと?

たしかに最後の一撃はヤバかったが、光力を全て防御に回したからな。
ギリギリ持ちこたえることができた。

ちっ。

先ほどまで怒りや悔しさなど、

負の感情に支配されていた敬介だったが、

大宮の無事を知り安堵した。

俺達全員もうヤバイだろ。
次の一撃が最後だ。

ああ。

黙れ!!
この戦いに勝利するのは俺だ!!

行くぜ大宮!!

同時に決めるぞ。

腱撃!!!!

吼拳!!!!

打面掌!!!!

光力と影力のぶつかり合いは膨大なエネルギーで、

3人を中心にしながら閃光が走った。

…………。

…………。

…………。

ぐふっ。

俺達の勝ちだろ?
形山。

ああ。

力のぶつかり合いに負けた幻角は倒れると同時に、

体が影力が砂煙のようになって消え去った。

そして、

光術士4人と三幻僧の戦いは、

光術士らの勝利により終結を迎えた。

第2章---三幻僧編---(59話)-点線面⑨-

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