???

で? あのゲームであんた神を倒したんでしょ? てか、てっきり神はあの鳴宮ってやつだと思ってたのに、隣にいた弱そうな女だったなんてね。あの時やっておけばよかったかした?

水属性のモンスターに火属性では愛称最悪だろうに、そんな劣勢をものともせず器用にHPゲージをギリギリまで削りながら顔色一つ変えずに言う。

かくいう俺も、そのお零れを倒させてもらうことで、既にレベルは200代に達していた。

里宮 一真

何だよ? お前、あいつに会ったことあるのか?

???

私が初めてイフリートに挑んだ時は、近くにボーっと立ってたわよ。あとは、私とあなたが戦うように仕向けてきた時も、鳴宮颯の横にいたわね。その時もボーっとしてたけど。そんなことより、ゲームクリアの報酬は何にしたのよ? 何でも願いを叶えられるってあったでしょ?

彼女が言いながら適当にあしらったキノコの化け物に、コバルトジャックを振るう。どうやらこのエリアはこのキノコの生息域らしく、もう何十体目になるのでそろそろパターンも読めて来た。

モンスターマッシュLEVEL507

どうやら名前もまんまらしい。まず、プレイヤーを補足すると頭の部分が青白く光る。多分、そこに目があるのだろう。そしたら一気に間合いを詰めてきて剣を振りかざしてくる。

他には盾を構えて立ち止まり、こちらの攻撃に合わせてパリィ、つまり剣や盾で攻撃を弾いてきたリ、頭を震わせ毒や麻痺、睡眠効果のある粉を浴びせてくることもあった。

LEVEL233

オレンジ色の光となり消え入るその残骸を眺めているところで、前方を歩くシルバーウルフが吠えた。

ワオ――――ン!!

里宮 一真

んなことより何か見つけたらしいぞ。視界の端にコマンドが現れた

シルバーウルフが離脱不可能エリアを発見
イベント発生率80%

見れば、洞窟は突き当りになっていて、T字路の様に左右に道が分かれている。そしてシルバーウルフは左側の道を見つめていた。

里宮 一真

イベントが発生するみたいだが、どうする? 寄り道せずボスの元まで一直線に向かうか?

???

じょーだん! 面白そうなことをみすみす逃してたまるもんですか。右よ、断固右。異論反論は許さないわ

里宮 一真

だな。俺も賛成だ。何より、そっちの方が楽しい!

珍しく意見が合い右の通路には目も触れずに左へ曲がった。と、そこにあったのは四角いワープホールのような足場。道はそこで途絶えていた。

???

当然、ここに載れって事よね

言って、彼女に続き、俺もワープホールの中に足を伸ばす。

里宮 一真

うお!?

???

きゃっ!?

突然体が宙に浮いたように感じる。まるで、ジェットコースターにでも乗ったような気分だ。

思わず目をつぶった俺が最初に感じたのは、ぴちょんという水の跳ねる音だった。

心なしか、肌に触れる空気も冷たく感じられる。ようやく浮遊感が収まり体がバランスを取り戻したところで目を開く。

奥から差し込んでくる光が薄く広がった水面に反射して、幻想的な空間を創り出していた。

大きさは半径10メートルほどのドーム状。所々に段差があって、綺麗に澄み渡った青色の水が、20センチほど溜まっている。

???

結構綺麗なところじゃない。何々? どんな素敵イベントが待っているのよ

幻想的な雰囲気にどことなく浮かれた様子の赤髪女。対してそれを見てしまった俺は、そんな風に楽観的にはいられなかった。

里宮 一真

いや、どうやらそんな楽しげなもんじゃなさそうだぞ。油断するな

またまた視界の端に表示された文字を、読み上げる。

里宮 一真

イベントボスが出現するぞ。レベルは、800だ!!

直後、このドーム状の空間の中心に、水の渦が発生する。周囲の水面に波が立ち、円状に波形が広がる。

一際激しい風が広がり、勢いに押されまいと俺も隣の女も腰をかがめ力を込める。

そして、具現化した死の冷たさが、降臨した。

幻氷の星剣士 LEVEL800

彼女が水面に下ろした白い細剣が、チカッと発光する。

???

ガハッ……

瞬間。今まで隣に立っていたはずの彼女が、無様に頭から崩れ落ちた。

彼女の頭上に赤色のエフェクトが表示される。

DEAD

そして、画面右上に新たなコマンドが。

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