何時も通り、スムーズな動きでリムジンが止まる。何時も通りの動きで、家の執事が車の鍵を預かる。まるで今僕が置かれている状況が――日常の延長であるかのように。
空には暗雲が立ち込め、ただでさえ外観の悪い僕の屋敷はまるで陳腐なファンタジーの魔王の城のように見えた。
僕は現実主義者である。
天気が多少悪いくらいで未来に暗雲が立ち込めているだとかどうだとか言うつもりはないが、張本人でもない東雲の方は大分今の状況に思う所があるようだ。
精神的にタフな東雲でもそうなのだ。冷蔵庫君など言うに及ばない。
がたがた震えながら、それでも気丈に冷蔵庫君が叫ぶ。