車内にはいつものそれと似て非なる空気があった。
恐らく、僕が三桜に送ったメールのせいだろう。三桜への協力要請は神城一族にとっての背信だ。僕だって笹宮さんのためじゃなかったら絶対にやらない。
一族にバレないように連絡するのは無理だった。いや、仮に出来たとしても必ずバレていただろう。どうせバレるのならば自らバラした方がいいというものだ。
組織とは元来、様々な機関が密接して出来上がっているものだ。規模は違えど、日本という国にはあらゆる場所に神城が噛んでいる。神城は僕が頭だが、決して僕の考えた通りに全てがうまく行くというわけではない。