都 大樹

藤峰、黒須、信じてくれ! 僕が本物だ!!

都 大樹

みんな騙されるな! こいつは偽物だ。僕の方こそ本物だぞ!!

僕が叫べば負けじと偽物も応戦する。堂々巡りだった。

黒須 美幸

じゃ、じゃあ私が綾瀬先輩と戦ったスポーツは?

都 大樹

テニス!!

都 大樹

テニス!!

藤峰 明人

じゃあ、俺がお前とカフェで話した時、俺が食いついた食べ物は?

都 大樹

クスクスのカレー!!

都 大樹

クスクスのカレー!!

黒須 美幸

記憶は二人とも一緒何です。意味がないですよ、こんな質問

藤峰 明人

それもそうか…

二人も策が尽きたようで、困った顔をしている。

偽物の方を見ると、にやりと笑ってこちらを見ていた。
僕だけは偽物が分かる。なのにそれを証明できない。

くっ

悔しくて毒づく。
そんな時だった。

おやおや都大樹さん、お困りのようですね

やっと、ようやく、私の出番のようですね

都 大樹

お前は…どういうことだ? お前にこの状況がどうにかできるのか?

当たり前じゃないですか。私はそのためにここにいるのですから。あなたのことが嫌いなのに、それでもあなたの傍にいるのはそのためですよ

都 大樹

そういえば、初めて出会った時に、正面切って嫌いって言われたっけ。分かった。僕はどうすればいい?

では、私の言うことを彼らに伝えて下さい

都 大樹

藤峰、聞いてくれ

藤峰 明人

何だ?

都 大樹

僕が急に飛び出した後、観覧車まで行って美樹ちゃんを迎えに行ってくれてありがとう。あの時、理由を離さない藤峰に思わず怒鳴ってごめんって、美樹ちゃんが言ってたよ

藤峰 明人

どうしてお前がそのことを…お前には話していないのに

都 大樹

それと、くろゆきちゃん。美樹ちゃんはそう呼ばれてたんだよね? 私のわがままに付き合わせて、こんなところまで連れてきちゃってごめんね。でも、ありがとう

黒須 美幸

どうして先輩がそのことを?

都 大樹

はは。そんな嘘で騙されちゃいけない。だってそんな事、僕は知らないんだから。嘘に決まっているよ

藤峰 明人

いや、決まりだな

黒須 美幸

ですね

都 大樹

偽物は、お前だ!!

ざまあねえですね。都さんの真似なんかするからですよ。さあ、この花を彼に、あの偽物に

僕だけに見える、その花を受け取る。
すると、二人も反応した。

黒須 美幸

何ですかそれ?

藤峰 明人

何だその花は?

一度僕の手に触れると、それはみんなにも見えるようだ。
ゆっくりと、偽物の元に近づく。

都 大樹

さあ、偽物。お別れだ。僕たちは元の世界へ帰る

都 大樹

甘いぞ! 元の世界に帰るには、一人一本のミヤコワスレが必要だ。それを分かっているのか!? 俺を見逃せば、手に入れ方を教えてやってもいい!!

都 大樹

問題ない。僕が二本、藤峰と黒須が残り一本ずつ持っている。だから、さよならだ

都 大樹

く、くそ! 今だ! こいつらの希望を奪ってしまえ!!

偽物が何かをする前に、僕は偽物にもらった花を押し付けた。淡い光になって、彼は消える。

都 大樹

みんな、これで終わっ

藤峰 明人

危ない都っ!!

振り返った僕の前で、転がる藤峰。彼を押し飛ばしたそいつは、藤峰から奪ったであろうミヤコワスレに、火を、付ける。

藤峰 明人

くそ、奪われてしまったか。だけど、二本持つ都を守れたのは良かった。まだ、大丈夫だ

冷静にそう言った藤峰、だけど、僕の耳にはほとんど入って来なかった。

燃え散ったミヤコワスレを見て笑みを浮かべるそいつは、僕をみて口を開いた。

綾瀬 咲月

やあみーくん。君が持つ二本の花も、燃やさせてもらうよ?

最期の闘いが始まる。

・・・

* * * * *

こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。

一話から登場していた不思議な彼女今回の話で、少しづつ正体が分かって来たのではないでしょうか?

とすると、少し不穏な空気も感じてしまいますが。

そしてまたまた、偽物らしき人が出てきました。予想が当たった方は、こっそりと微笑んでください( ´∀` )

それでは、今回はこの辺りで失礼します
(*- -)(*_ _)ペコリ

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