都 大樹

綾瀬。な、何故お前が…?

綾瀬 咲月

何故って。だって私は、その為にここにいるんだからね

藤峰 明人

都、咲月はおそらく、偽物だ!

都 大樹

そ、そんな。だって綾瀬は、僕のカバンからミヤコワスレを抜き取って…それで…

綾瀬 咲月

そうさみーくん。それで、失っていた記憶が蘇ったんだ。私の役割とともにな

藤峰 明人

言っただろう都、偽物はミヤコワスレを手にすると、この世界を旅立つ本物と違って、記憶を取り戻してこの世界に留まるって

都 大樹

だったら電話の話は

綾瀬 咲月

もちろん真実だ。だってこの記憶は、本物の綾瀬咲月と同じものだからな

藤峰 明人

だけど、大丈夫だ。手はもう打ってある

黒須 美幸

眼鏡先輩、一体何を?

藤峰 明人

衝突の際に、都の手に残っていた白い花をあいつに押し付けた

言葉に、綾瀬の偽物は自分の体を見る。
上着の内ポケットに、白い花が差し込まれていた。

綾瀬 咲月

く、くそ!? いつの間に! だけど、まあいい。どうせお前たちが幸せな世界に揃うことはないんだからな

その言葉を最後に、綾瀬の偽物は光となって消えた。

都 大樹

これで、本当に最後なんだな

藤峰 明人

ああ。少し腑に落ちないこともあるが。多分、大丈夫だろう

黒須 美幸

私たち渡航者が3人なのに対して、偽物が4人いたってことですよね

そのことに僕には若干の心当たりがあって、何もいうことが出来ない。

藤峰 明人

取り敢えず、帰ろうか。そのためには、ミヤコワスレを胸に押し当て念じる。それだけだ

黒須 美幸

知らない人もいるかもですけど、何にしても、また向こうで

都 大樹

ああ、向こうで

呟いて、他のみんなと同じように目を閉じる。
ミヤコワスレを胸に押し当てた。

ふわりと、身体が暖かな光に包まれた気がする。

僕は、記憶の中に意識を巡らせた。

目を覚ます。

ミヤコワスレを持って旅立った、懐かしいあの部屋だった。

辺りを見回す。不思議なことに、火事に巻き込まれたはずの、みんなの姿もあった。

綾瀬 咲月

何だか、長い夢を見ていた気がするな

涼紘 夏美

そうね。不思議な気分だわ

白石 未筝

私はまだ眠いよ

羽鳥 宇美

未筝、ちょっとうるさい

青葉 桐斗

相変わらずだな、お前たち

桐谷 シルク

ちょっとあんたたち。こっちは突然のことで、心配したんだからね

母校に帰っていた桐谷も、この場に駆けつけてくれたらしい。

一同を見回して、火事に巻き込まれたみんなが無事なことを確認し、ほっと胸を撫で下ろす。

直後に。

だけどその事実に気付く。

    ・
だから、俺たちは言った。

藤峰 明人

都が、いない!

黒須 美幸

三枝さんもです!!

* * * * *

こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。

いよいよ元の世界に帰ることのできた藤峰たち。不思議な女性の持つ花の力は、絶大だったようですね。

そんな中、都大樹くんがいないという事実。そして何故か、三枝美樹ちゃんも。

これからどのような展開でしょう。もうすぐ完結です。

それでは、今回はこの辺りで失礼します(*- -)(*_ _)ペコリ

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