言葉に、綾瀬の偽物は自分の体を見る。
上着の内ポケットに、白い花が差し込まれていた。
綾瀬。な、何故お前が…?
何故って。だって私は、その為にここにいるんだからね
都、咲月はおそらく、偽物だ!
そ、そんな。だって綾瀬は、僕のカバンからミヤコワスレを抜き取って…それで…
そうさみーくん。それで、失っていた記憶が蘇ったんだ。私の役割とともにな
言っただろう都、偽物はミヤコワスレを手にすると、この世界を旅立つ本物と違って、記憶を取り戻してこの世界に留まるって
だったら電話の話は
もちろん真実だ。だってこの記憶は、本物の綾瀬咲月と同じものだからな
だけど、大丈夫だ。手はもう打ってある
眼鏡先輩、一体何を?
衝突の際に、都の手に残っていた白い花をあいつに押し付けた
言葉に、綾瀬の偽物は自分の体を見る。
上着の内ポケットに、白い花が差し込まれていた。
く、くそ!? いつの間に! だけど、まあいい。どうせお前たちが幸せな世界に揃うことはないんだからな
その言葉を最後に、綾瀬の偽物は光となって消えた。
これで、本当に最後なんだな
ああ。少し腑に落ちないこともあるが。多分、大丈夫だろう
私たち渡航者が3人なのに対して、偽物が4人いたってことですよね
そのことに僕には若干の心当たりがあって、何もいうことが出来ない。
取り敢えず、帰ろうか。そのためには、ミヤコワスレを胸に押し当て念じる。それだけだ
知らない人もいるかもですけど、何にしても、また向こうで
ああ、向こうで
呟いて、他のみんなと同じように目を閉じる。
ミヤコワスレを胸に押し当てた。
ふわりと、身体が暖かな光に包まれた気がする。
僕は、記憶の中に意識を巡らせた。
目を覚ます。
ミヤコワスレを持って旅立った、懐かしいあの部屋だった。
辺りを見回す。不思議なことに、火事に巻き込まれたはずの、みんなの姿もあった。
何だか、長い夢を見ていた気がするな
そうね。不思議な気分だわ
私はまだ眠いよ
未筝、ちょっとうるさい
相変わらずだな、お前たち
ちょっとあんたたち。こっちは突然のことで、心配したんだからね
母校に帰っていた桐谷も、この場に駆けつけてくれたらしい。
一同を見回して、火事に巻き込まれたみんなが無事なことを確認し、ほっと胸を撫で下ろす。
直後に。
だけどその事実に気付く。
・
だから、俺たちは言った。
都が、いない!
三枝さんもです!!
* * * * *
こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。
いよいよ元の世界に帰ることのできた藤峰たち。不思議な女性の持つ花の力は、絶大だったようですね。
そんな中、都大樹くんがいないという事実。そして何故か、三枝美樹ちゃんも。
これからどのような展開でしょう。もうすぐ完結です。
それでは、今回はこの辺りで失礼します(*- -)(*_ _)ペコリ