黒須 美幸

先輩。その花を私に、分けて下さい

そう言った黒須に、俺は日本の花を手渡す。

黒須 美幸

夏美、宇美。お願い。この花を受け取ってくれない?

羽鳥 宇美

何? あんたまであの男の肩を持つの?

涼紘 夏美

あの男のこと知ってるわけ?

黒須 美幸

そうね。腐れ縁…みたいなものかしら。でも、それはあなた達とも同じ。今は覚えていないだろうけど、いずれ、思い出すことが出来ると思う。夏美と宇美と私との出会いと、何よりこの人との楽しかった日々をね

涼紘 夏美

意味が分からないんだけど…

黒須 美幸

頭で考えなくてもいいよ。ただ、私を信じて。この花を、受け取って欲しいの

涼紘 夏美

でも・・・

羽鳥 宇美

はあ。いいよ、分かった。私は信じてあげる。この男のことなんて知らないけど、これまでのあんたを、信じてあげる

涼紘 夏美

由実!? まああんたが信じるなら私も信じていいか。ほら、渡しなさい

黒須の手から、二人に紫色の花が贈られる。
二人の体は、ゆっくりと光を帯び始める。

羽鳥 宇美

じゃあね。楽しかったよ、美幸と一緒にいる時間

涼紘 夏美

まあ、私も楽しかったわ。それと、都だっけ? 約束すっぽかして悪かったわね

そんな声が聞こえた気がした。

僕の視界は、彼女たちが発する光に包まれて、次第に意識は薄れていった。

目を覚ます。
ゆっくりと体を起こし、黒須の体を揺らす。

黒須 美幸

先輩。終わったんですか?

都 大樹

ああ。お前のおかげで助かったよ。それにしても、何でお前は記憶を保っているんだ?

黒須 美幸

そりゃあ。ホテルから出て行った先輩を追って遊園地に行ったら、そこで女の子と出会って、その子と一緒に不思議な女性の所に行ったら、先輩たちも来たって言ってたので、その後を追ったんですよ

都 大樹

ってことは、君もミヤコワスレを?

黒須 美幸

はい。でも、私のが最後の一本でした

都 大樹

ねえ、もしかしてその出会った女の子って、三枝美樹って子?

黒須 美幸

ですね。でも彼女の分のミヤコワスレはなかったから、女性は他の…

そこで、電話が鳴った。
でると、相手は藤峰だった。

藤峰 明人

おお、都。やったぞ。白石にミヤコワスレを渡した後で美樹ちゃんとあったから、ちゃんと肩を付けた。これで偽物はすべて消えたはずだ。そっちはどうなった?

都 大樹

こっちも涼紘と羽鳥にミヤコワスレを渡せた。じゃああとは帰るだけだね

藤峰 明人

ああ。それじゃあ大学に集合しよう

都 大樹

わかった。それと、驚かないで聞いてくれ。なんと駄目かと思っていた黒須も無事で、僕たちの後を追って来ていたんだ。危ないところを助けられたよ

藤峰 明人

なんだって!? そいつは本物か!?

都 大樹

ああ。ミヤコワスレを使ってきたらしい。記憶もちゃんとある

藤峰 明人

それはまずい。だとすると、偽物がもう一人いることに…ん? お、お前。何でここに?

都 大樹

どうした藤峰? 藤峰!?

藤峰 明人

っく。お前が最後の偽物か。都、駅だ。駅に

通話は勝手に切れた。
静寂が辺りを包む。

都 大樹

行こう黒須。早く藤峰を助けないと

黒須 美幸

はい、先輩

急いで僕たちは駆けだした。

* * * * *

こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。

もう一人偽物が残っていたそうです。一体誰でしょうか。

地の文が少し雑になっている気がして、ジ便としては少し物足りません。でも、更新速度を考えるとこれが妥当かなと、悩みどころです。

それでも、最後までお付き合い頂ければと思います。

それでは、今回はこの辺りで失礼します
(*- -)(*_ _)ペコリ

pagetop