都 大樹

ひとまずここに来てみたけれど...誰もいないな

本当は涼紘たちと会う予定だった、大学のカフェ。だけど、そこにいるのは、僕の知らない人たちばかり。

辺りを見回して、目当ての人物がいないのを確認してその場を離れる。

丁度、近所の高校の前を通りかかったところで、彼女たちを見つけた。

都 大樹

もう、逃がさないよ

覚悟を決めて、言う。

羽鳥 宇美

しつこい…てか逃がさないって、キモイ

涼紘 夏美

何をしようと私たちの自由でしょ?

黒須 美幸

・・・

この中に、偽物はいない。
みんな、本物。だから、なんとしても手を打たないといけない。

僕は、右手を握り締めて言った。

都 大樹

確かに、君たちに僕に付き合う義理はない。何をしようと、どこへ行こうと、君たちの自由だ。僕は君たちを拘束したいわけでも、自由を奪いたいわけでもないんだ

涼紘 夏美

だったら、もういいでしょ

都 大樹

いや駄目だ。駄目なんだよ。いくら君たちが自由でも、僕とは関係ない生活をしていて、僕のことなんか知らなくて、僕のことが嫌いでも。それでも、駄目だんだよ。僕が知っているから。あの楽しかった日々を、笑い合った思い出を、涼紘や、羽鳥や、黒須の、曇りのないあの笑顔を、僕は知っているんだから

羽鳥 宇美

何を言ってるのか分からないけど、私にはさっぱりだわ

都 大樹

分かってる。そんなことは分かっている。分かったうえで言ってるんだ! あとで文句をいくらでも聞くよ。叩かれたって構わない。僕を、もしも僕を嫌いになったとしても、それでも僕は今動いたことを絶対に後悔しない。だから、お願いだ。僕を信じて、この花を受け取ってくれ!

そっと、その花を、差し出す。

だけど、それでも。
彼女たちには届かなかった。

羽鳥 宇美

うざ。正直引くわ

涼紘 夏美

んじゃ、そういうことだから

声とともに、足音が遠のく。

そして、聞こえなくなった。

代わりに聞こえたのは、彼女の声。

黒須 美幸

もう、しょうがないですね。私が協力しますよ、都先輩

都 大樹

くろ…す?

顔を上げた視線の先で、二人の手を掴んだ黒須が、僕を見て柔らかに微笑んでいた。

* * * * *

こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。

久し振りの黒須の笑顔に、心が満たされた今日この頃です。都くんはまだ状況を掴めていないようですが、きっと次回は笑っているでしょう。

だけど、忘れられない、あの存在。

それと、興味のある方にだけ、お知らせです。数日前からちょこちょこっと考え中の移動先で執筆していましたが、ようやく形になりました。

comico→ぱりにゃん(作者名)→『君の記憶』でいってみて下さい。名前変えたんですけど、私です(笑) ちなみに絵は描けないので漫画じゃなくてノベルです。

まだ戸惑っていますが、ストリエが終了するまでには慣れて、途中だった作品を再開したいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

それでは、今回はこの辺りで失礼します
(*- -)(*_ _)ペコリ

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