天空の城。プレイヤーの最終目的地であり、最後の戦場。そこは、新たな神の力が降り注ぐ、神秘的な場所だった。

 神々しい光が灯る。純白の羽が舞う。その中で。

 弱り切った明日奈を抱える俺の前に、銀髪の少年は降り立つ。

鳴宮 颯

諦めろよ里宮一真。『神殺し』があるおかげで僕と戦う資格はあるようだけど、それだけだ。そもそもの力量が違う。君はただの人間で、僕は神だ

 服はすりきれていた。ところどころ覗く肌は、鉄臭い赤い液体が滴っている。

 圧倒的だった。たったの一撃で、俺の体はボロボロになる。けれど。俺の心は折れない。

里宮 一真

力の差なんて関係ない。挑戦できるのなら、最後まであがくさ

鳴宮 颯

そうか。だけどそれは勇気じゃない。そこまでいけば、もはや無知と言う罰だよ。だから、その希望をここで摘み取るとしよう。『神罰』

 言って、空の色が変わる。雲の上にあるはずのこの場所が、灰色の雲で覆われる。

 ややあって、その雷は俺の体に降り注ぐ。

里宮 一真

があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

 叫ぶが、身体に痛みはない。その衝撃に、反射的に声が出っただけだ。けれど、俺の叫びに重なって、電子音が鳴り響く。

 『神罰』により全ての
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鳴宮 颯

これで君は僕に挑戦する権利さえ失った。君の攻撃はもう、僕には届かない

明日奈

さと、み、や…一真

 項垂れる俺に、明日奈は辛うじて開いた瞳を向け言葉を送る。

明日奈

もう諦めて。あなたが負けようと、私は願いを叶えられる。新しい人生をやり直せる。だから、もう、無理をしなくていいでしょ?

里宮 一真

俺が負けたら、願いを叶える権利を手放したら、お前は今までの全てを無駄にするんだろ? そんな逃げを、俺は許さない。そんな願いは、俺が勝利を勝ち取って、お前にもう一度力を与えるきっかけに替えてやるよ

 だから、俺は諦めない。諦めてはいけない。俺の肩には、目の前で蹲るか弱い少女の人生が懸かっている。

 だから、俺は言う。

里宮 一真

そんな甘え、俺が絶対に許さない。見ていろ明日奈。困難に立ち向かうことが、これまでの大切な人への、報いに繋がるところを!!

明日奈

待って、・・・え?

 明日奈を置いて、俺は神の元に駆ける。後ろでは、小さな明日奈のつぶやきが聞こえた。

明日奈

背中に、白い・・・光?

 その声に耳を傾けることもなく、俺は足の回転を速める。

 一気に、直線距離で突っ込んだ。

鳴宮 颯

馬鹿か君は。『神殺し』を持たない君に、僕へ攻撃は届かない。前の神にチョップをした時に経験済みのはずだが?

 だけど、俺は構わず激突した。

 そんな音が響いた。

 神を守る何かが、俺の攻撃を弾いた音。

 ——ではない。

 俺の振るった拳が、鳴宮の翼を片方砕いた音だ。

鳴宮 颯

な、何故だ!?

 鳴宮が、俺を見て叫ぶ。

 ——いや、正確には違う。俺の、背後。そこに目を据えて、彼は叫んだ。

鳴宮 颯

どうして君が、神の力を持っているんだ!?

 むくりと、横たわっていた彼女たちが起き上がり、俺の両隣に立つ。

エリシア

さお兄やん。神様気取りの少年を、スカッとやっつけてやろう!

リリア

私たちの力を、二人に見せつけるのよ

 二人の立つ中心で。

 そんな音とともに、青みがかったクリアな翼が羽ばたく。

 輝く蒼翼を携え、俺は叫んだ。

里宮 一真

さて、終わりの終わりを始めようか!!
鳴宮颯くん?

Ending:お気に入り数35達成記念~最後までお付き合いお願いします~

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