だから、彼が目を閉じるだけで、黒前の間近で爆発が起きた。
だから、彼が目を閉じるだけで、黒前の間近で爆発が起きた。
く、炎属性・・・
だから、彼が腕を伸ばせば水流が巻き起こった。
今度は水属性か!?
だから、彼が右手を天にかざせば星が降る。
こんな属性、俺は知らんぞ
だから、彼は圧倒的な力でもって、黒前をねじ伏せる。
ちょっと黒前、大丈夫?
お前は他の連中の相手をしていろ! こちらに構っている暇はないはずだ。こいつは、俺が抑える
へー。こんなに圧倒的な差でも、諦めないんだ。だけど、結果は見えている
うるさい。神のスキルを持つ俺が、負けるはずがないだろう!! ここに宣言する。現時点を持って、この空間は『神の領域』となる。その王は、俺だ!!
黒前がそう叫ぶ。『神の領域』。この世界を掌握する神ですら手の届かない、たった五つだけの特別なスキルの内の一つ。
その領域では、王である使用者、つまり黒前以外はいかなるスキルも発動できない。そしてそれは、神までも。
だけど。
なのに。
うざい。俺の前で王を語るなよ。お前はせいぜい召使が限界だ
彼が、右手を前に突き出し、何もない空間を強く握る。握りつぶす。
それだけ。たったそれだけの事で——
そんな音がするのだ。そして彼は、何事もなかったのように、当然だといった顔でスキルの力を振りかざす
だから、彼が右手を振り下ろすと、今度は雷が落ちた。
何故だ! 何故お前はスキルを使える!? 俺の許可もないはずなのに!!
ついに耐え切れなくなった黒前が、大声で怒鳴った。すると彼は、すました顔で、こう答えるんだ。
ああ俺、『神殺し』のスキル持ってるから、『神』が付くようなスキルも全部、関係なくぶっ壊せるんだよ
『神殺し』。『神の領域』同様、神ですら手の届かない五つのスキルの内の一つだ。
本来は、神に仇なす為のスキルであるが、こんなところでも効力を発揮できるらしい。
だからお返しだ。『神殺し』の俺が、お前に負けるはずはない
・・・仕方がないか
彼の勝利宣言に、黒前は小さくため息をついた。だけどそれは、諦めなんかではなく。
どちらかというと、最後まで渋っていた奥の手を出すかのような・・・
黒前は右手の剣を背の鞘にしまう。そうして、両手を天に掲げた。
後悔するな、里宮一真よ。たとえ、大切なものを失ったとしてもな
とても低い声だった。地の底から這い出て来るかのような重さを持った。
その声で。両手を天にかざしたまま、黒前は言い放つ。
万人に等しい天罰を。『アポカリプス・ゼロ』!!
言って、叫んで。両手を振り下ろして。
空が割れた。
世界の色は、黒に変わった。
なんやのんこれ!?
割れた空からは、大地を引き裂くような音が。
慌てるな。運命は既に決まった
何をした?
彼の問いに、黒前は淡々と答える。
天罰だ。天上の意志により、ここに存在するプレイヤー全員の中から一人が選ばれる。その一人に、天より隕石が降るだろう。たとえお前の反射をもってしても、防ぐことはできない
その相手は、お前が選ぶわけじゃないんだな
ああ。確率は、全てのプレイヤーに同率だ。故に俺も、その一人ではあるがな
・・・そうか、分かった。それなら——
その返答を聞いて、しかし彼は笑っていた。勝利を確信した顔で、言葉を紡いだ。
この勝負、俺たちの勝ちだ
彼の意図したこと、それは、彼がハートカウンターによって手に入れた、彼だけのスキル。
『確率変動』
つまり、このスキルを使えば、確実に黒前に対象を決定できる。
ふん。何を考えているかは知らんが、せいぜい余裕を感じているがいい
けれど、黒前はこのスキルを知らない。そのために、結果の見えているこの勝負にを前に、声高くこう叫んだ。
時は来た。今こそ、天罰よ下れ!!
そして。
そして。
——なのに。
割れた空から、一つの巨大な塊が降る。
だけど、彼は自分が持つもう一つのスキルのことを意識していなかった。
いや、考慮には入れていたけれど、最悪の場合を想定してはいなかった。
『不幸ランダム』
そしてもう一つ。彼は気付いていなかった。
対象となるのはプレイヤー。つまり、いくら不幸ランダムが働いても、カティアやエリシアのような、ゲームの中の住人は対象にならない。そう、考えていた。
だけど、もう一人。いたのだ。彼が知るプレイヤーが。
だけどその存在に、彼は気付いていなかった。
・・・え?
くっ!?
駆ける。気付いた時にはもう、足が動いていた。
自分のせいで、あの神との闘いに巻き込んでしまった彼女の元へ。
させるか! ディーゼル、聖人を!
分かったわ!!『聖人召喚』!
邪魔をするなっ!!
だけど、聖人は現れなかった。
表れたのは、唯の人。
一体何が?
その人影を無視して彼は少女の元へ辿り着一本の剣を構えた。
『雷撃の聖剣』よ、全てをなぎ倒せ!!
ああなるほど、そういうことか。彼はまたもやオリジナルスキルの一つを使っていたのだ。
『強奪』
だから『人』が召喚され、剣は『聖剣』となった。
彼の振るう剣が、巨大な隕石をも凌駕する。直撃し、その軌道を大きく変える。
その先には、黒前とディーゼルが。
そんな音とともに、世界は白へと色を変える。もうすぐ彼の腕の小さな機械には、勝負の結果が表示されるだろう。
そんなことを考え、私は彼の方を見た。彼も私を見ていた。しょうがないから手でも振ってやろう。
だけど、彼は振替して来なかった。必死で何かを叫んでいるが、ここまで聞こえない。一体何を言っているのか、数歩進んでようやく聞こえた。
——どうやら私の名前を叫んでいるようだった。そんなことしなくても、どこへも言ったりはしないのに。
私の気持ちを伝えるために、彼の元へ行こう。そう思って踏み出した足が——
そのまま崩れ落ちた。
何だろう。痛いなぁ。体に力が入らないや。
あれ? お腹から血が出てる。どうしたんだろう・・・
薄れゆく意識の中で、私を呼ぶ彼の声が聞こえた。
カティアーー!!
・・・
パクリbotさん、コメントありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ
そうなんです。このスキル、意外と使い勝手がいいんですよ笑笑(*^^*)
今回は、ハートカウンターで得たスキルを入れ込んでみました!
ごめんよみんな( ; ; )
不幸ランダムの効果を「このスキルで起こった不幸な出来事でのダメージは一律0になる」
とかにしとけばよかった(;_;)
……さて。謝罪もそこそこに←
予想外の展開すぎてハラドキすぎます>_<
……というか。この物語はどういう終着をするのだろう
優利さん、コメントありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ
スキルの案を頂いた際に「ただし、このスキルで起こるすべての事象にダメージ計算は適応されない」みたいな感じで書かれていて、今回は隕石自体は黒前のスキルなのでダメージ計算ありかなーって考えたのですが、何か優利さんの
ちなみに、詳しくは言いませんが、カティアが倒れたのは不幸ランダムとか隕石とか黒前とかディーゼルとかとは、何の関係もなく全く別のことが原因です(。-∀-)ニヒ♪
予想外…というのは、実は私にとって最高の褒め言葉なのです...♪*゚
というのも、1冊の本などと違いここでは1話ずつ途切れるので、次の話の直前に読者さんの想像出来ないような事を入れ、次も読みたいと思ってもらえるように頑張ってますので|´-`)チラッ
あぁ。いえ(^。^)スキルの解釈はぞこさんが自由にしてあげて下さい(^^)
そして、不幸ランダム関係無くて安心(笑)
私は、不幸ランダムが発動する度に涙する(コメントにこれ→( ; ; )が入る)だけですので(笑)