異空間で、俺の右腕に巻かれた時計のようなものから、そんな電子音が聞こえた。

里宮 一真

オリジナルスキル『ハートカウンター』? 何だそれ?

 画面にはそんなスキル名とともに、説明のようなものが。

 お気に入りが10を超えました。新たなスキルを一つ、獲得できます。その候補を是非コメント欄へどうぞ。何もなかった場合、今回の発動は無効となります。
 また、今後お気に入り5つ毎に同じイベントが発生します。次はお気に入り数が15を達成した時です。

 ※初回発動はお気に入り総数が10に達した時
 ※スキル反映は、厳密な審査の下で実行するか否かを判断させてもらいます

里宮 一真

お気に入り? コメント欄? 一体このふざけたスキルは何をしたいんだ?

カティア

つまりさ、君を応援してくれている人が十人を超えて、その人達が何かスキルをプレゼントしてくれるって事。まあ、一撃で神を殺せるなんてようなチート過ぎてゲームをぶっ壊してしまうほどのスキルには規制がかかるだろうけど

里宮 一真

何だそれは。素晴らしいスキルだなこれ

カティア

だから自分勝手ばかりして読者に嫌われてコメントがないと、何のスキルももらえないから注意した方がいいよ

里宮 一真

任せとけって。この調子じゃ、悪い予感も何とかなるかもな。行くぞ、カティア!

カティア

いえーーーい!!

 さらに速度を増し、俺たちは異空間の奥の奥へと突き進む。

 その、少し前。
 エリシアサイド・・・

エリシア

いやー。何でだろ。こんなところで何してるんだろう私

 彼女は一人、黄昏ていた。

 遠くを見て、呟く。

エリシア

いやー、来ちゃったねぇ。気付いたら辿り着いちゃったねぇ――

 そんなエリシアの前に、堂々と存在を誇るのは——

エリシア

海!!

 広くて大きな、青い青い海だった。

 どこまでも水が広がっていて、他には何もない。
 ただ——海だった。

エリシア

さて、目的とした海に着いた訳だけど。お兄やんはどこにいてるんやろう

 だけど、平穏は続かない。

エリシア

あれ? 何か雰囲気が、変わった?

 最初は単なる違和感だった。急に静かになったような。元々なかったのだけど、それでもさっきよりも人気がさらになくなったような。

 そんな、違和感だった。

エリシア

はやいとこお兄やんと合流しないと。私の方が先に着いたって自慢するんだ!

 そんな違和感は、すぐに確信に変わる。

エリシア

・・・あれ何だろ。おっきな岩かな

 突然現れた大きな物体。最初はそんな風に考えていた。

 だけど、違う。
 絶対に、違う!!

エリシア

何? 少しづつ、増えてる・・・

 さっきまで一つしかなかったそれは、すでにもう数を増やしていた。迫りくる恐怖。それを肌で実感する頃には、彼女の目の前にはもう『それ』が集まりすぎていた。

エリシア

い、いや・・・

エリシア

やめて・・・来ないで

エリシア

お願いだから!!

 そして——

 奴らが現れた。

エリシア

きゃーーーーーー!!

 そこで気を失った彼女の元に、助けなんて来なかった・・・

エリシア

お兄・・・やん

エリシア

ん・・・

 遠くから届く光に目を刺激され、エリシアは重い瞼をゆっくりと開ける。

エリシア

海の・・・中

 一人呟く。そんな彼女の目の前に、女性が一人座っていたことに気付く。

ディーゼル

あら、気が付いた?

エリシア

あなたは?

 虚ろな瞳で尋ねるエリシアに、彼女は笑顔でこう言った。

ディーゼル

私はディーゼル。ようこそ水の都フレーレへ。宴会の間では、冒険者たちが羽休めしているわ。女王の私が許可する、あなたも存分に楽しんで行って

リリア

それにしても、人が来たのは久し振りだ。また戻って来るかな、水の王国フレーレに

 嘯く姫は、不敵に笑う。

 一体誰が、嘘つき人魚姫なのか。

くくく。見つけた。そこにいたんだ元神様。微かに残ったその力、全て奪いつくしてあげよう
——今はもう、私の為の力なのだから

Re:5th.お気に入り数10突破記念☆彡 読者の皆さんに感謝!!

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