「そういや お腹すいてない?」
返事をする代わりに、ノルのお腹がぐぅと鳴り、思わず島は笑みを漏らす。
「何か作るよ」
島はキッチンに向かおうとするが、後ろから、引き止める力に足を止めた。
振り返ると、ノルが控えめにスーツの裾を引いている。
「俺も」
「俺もする」
ノルが不思議な色をした瞳でジッと見つめてくる。
光の加減で色を変える彼の瞳は、とても印象的で見とれてしまう。
「……」
「…ダメか?」
「もちろん いいよ」
いかんいかん 危うくムラっときた
返答までに妙な間が出来てしまったが、不審に思われる事はなかったようだ。
島は、ノルと一緒にキッチンへ向かった。
キッチンは小奇麗に片付いている。
立一は、料理をしない為、ほぼキッチンを使用しているのは、島である。
「そういえば 空間迷彩だっけ?
ここの調理器具とか 使っちゃっても
平気なのかな?」
確か以前、部屋の家具やインテリア等、そう見せているだけで質量が違っていると話していたはずだ。
ノルは、小さく頷いた。
「チューに調整してもらった 使用して
問題ない」
「なら安心だ」
島は、ジャケットを脱ぎシャツの腕を捲ると、材料を確認する為、冷蔵庫を覗いてみる。