亀の恩返し

2.乙姫に相談する。





















しかし
どれだけ考えたところで
私はカメ。
良い案などなにも浮かばない。


私は竜宮城に戻ると
乙姫様にお伺いを立てた。


乙姫様は海を統べる偉い方。
カメの浅知恵など比べようにもない
良い意見を下さるだろう。





もし乙姫様が
「太郎さんに会うべきではない」と
仰れば
寂しいけれど仕方がない。


きっとそれが
私にとって良いことなのだろう。




ほほ……。
カメのそなたがのう

……はい


乙姫様は
ころころと鈴が鳴るようなお声で
お笑いになった。

そして、つい、と
私の顔を覗き込んだ。

そなたの恩人は、わらわにとっても恩人じゃ。
この城に招待するが良かろ?

聞けば貧しい漁師だとか。宴を開いてもてなそうぞ

それは太郎さんも喜びます!











私は喜び勇んで浜に向かった。

もう1度太郎さんに会える。
太郎さんに恩を返すことができる。


ああ、やっぱり
乙姫様にご相談して良かった……!














































カメ!
あれほど来てはいけないと……


太郎さんは私を見ると
困ったような顔であたりを見回した。



子供たちがいないか見てくれたのだろう。



太郎さん。
私と竜宮城に行きましょう!

……りゅ……?


最初は訝しんでいた太郎さんだったが
熱心に勧める私に根負けしたのだろう。
竜宮城に行くことを承諾してくれた。



私は背中に太郎さんを乗せ、
竜宮城へ向かった。


























太郎さんを連れて海を泳いでいると
にわかに空に暗雲が立ち込め

やがて、大粒の雨が降り出した。


波が荒れる。
甲羅にしがみつく太郎さんを
私は、
落とさないように注意しながら
必死で泳ぎ続けた。











そんな私たちの目の前に
なにかが姿を現した。


4.島があらわれた。

5.魚があらわれた。

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