……非常識……

圭……



いや……完全に同意なんだけど……。




それよりも今は、
何故彼女がこの時間、
この場所にいるのかが不思議でしょうがない。




有希

それは……
本当に申し訳ありません……!






深々と。
頭を下げた春野さん。



制服を着ていることや
スクールバッグを持っていることから、
遊びに来たわけではないことは一目瞭然。

何より今日は学校があるし。


とりあえず、説明をしてもらってもいいですか?
いろいろと……






何も分からないまま進行する。
それが二日連続なのはどうにもいやだから聞く。
と、


有希

そ、

有希

そうさせていただけると嬉しいです








ドアを開けたときから、
春野さんは相当緊張しているようだったけど、
ようやく笑顔を見せてくれた。





…………






申し訳なさそうだし、
脳天気でもないようだし……。




うーん……絶対に悪い人では無いんだけどなぁ……。



昨日の瞬間移動的な行動力といい、
どうにも掴めない人だ。





有希

もう、美代(みよ)ちゃんのアドバイス通りにしたのに……

有希

引かれちゃったよね
嫌われちゃった……かな……












時間は丁度いいし……行こうか、圭








まだ早いよ

その人には外で待っててもらえば?






お箸を持ち直し、茶碗をもった圭。




そう言うなよ







視線を下げ、黙々と租借を続ける圭と、
再び不安そうにこちらを見つめる春野さん。



ああ、なんで僕は板挟みになってるんだ??





じゃあ僕らは先に行ってるから、
圭は後で来てくれ

ええと鍵は……

それはおかしいっ






聞くや否や、残っていたご飯を全て平らげ、
むんすと鼻を鳴らした圭は、
機敏な動きで支度を済ますと、
春野さんが待つ外へ出た。



この人と話がある。
快はゆっくり支度をしてから出てきて











と。
なんだか自分の部屋に閉じ込められるカタチに。



はぁ……






あの感じ。

圭は相当虫の居所が悪いらしい。




……………………
喧嘩になる前にさっさと僕も準備しないとっ!





パンを口に詰め込み食器をシンクに持って行きに必要なものを詰め込みとにかくダッシュで玄関を開ける。



寸前に。

そういうことだから




という圭の声。


ガチャッと。
ドアを開けた瞬間に、


有希

私の方こそ






これは春野さん。




有希

あっ

…………

ええと…………





固まった空気の中、僕を見つめる二人。


おそらく司会進行を任されたらしい僕は、
なるべく笑顔で。
こんな感じの(*^▽^*)笑顔で。


まずは学校に行こう。


二人の仲を、出来るだけ、
良い感じに、出来るように。





い、行こうか!
いやー今日も晴れてよかった!
春の雨はなんだか郷愁的になるしなっ

そういえば今年はお花見にはいけなかったなぁ
時間がなかったわけじゃないけど、
なんとなく、恥ずかしくなっちゃって

家族はそういうのに興味がないし、圭も人がたくさんいるいるのは苦手だしな

快、











………………はい






流石に……
柄にもないことはするもんじゃないな……




ごめんね、大丈夫だから

有希

すみません、気をつかわせてしまって……






一瞬。
たぶんだけど、圭が春野さんに、
アイコンタクトを送った気がした。



それから僕を見て、話を始めた春野さん。





有希

昨日のことと今日のこと、
今から説明しますね!










あ、うん






二人とも全然落ち着いてる……
僕の回らない舌を必死で動かした意味は……。




有希

単刀直入に言わせていただきます!

有希

わ、私の好きな人は……










隣を歩いていた春野さんが立ち止まり、
僕を、見つめた。








有希

あなたです、矢橋 快さん











それは確信を持って犯人を言い当てる探偵の様に。



ハッキリと、強く、僕の耳へ。



心へと届いた。





二日目――通学路、犬猿の兆し。

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