既に日は完全に落ち、分厚い雲が暗黒の空を作っている。
最新技術によるセキュリティの施されたゲートが音もなく開き、リムジンを招き入れた。
資本主義の魔王。
日本国の首都の片隅に存在する広大な私有地に建てられた城こそが知る人ぞ知る神城の本拠地。
西洋かぶれだった五代前の当主が建てさせた巨大な城は年を経るごとに最新技術によるアップデートが重ねられ、その古風な外見とは裏腹に要塞じみた防衛力を誇っている。
周囲が軒並み私有地なので踏み入る者もなく、ここが首都の一画とは信じられない程に静まり返っている。
以前写真で撮って笹宮さんにあげたら即座に悪の帝王の本拠地のモデルにされた。
僕としては役に立ったのならばこれ以上の喜びはないとしか言いようが無い。