皆が僕の事を褒めてくれた。
望めば何だって集まってきた。望まなくても何だって集まってきた。
日本は資本主義。戦前、日本経済の根幹だった神城財閥の血を引く僕は王の子であり、それに相応しい才覚と能力を受け継ぎ生まれた。
神城 鋭
神城財閥の直系にして、その血と莫大な財産を受け継いだ者。それが僕の名前。
受け継げなかったのはただただ、品性だけだ。
万物一切を自由自在に手に入れられるのであれば、万物一切に価値を見出だせない。金、権力、女。労せずしてあらゆるものが与えられた僕は、そのために無気力となりそして……その事実を幼い頃から理解していた。
そんな未来について何の希望も期待もなかった僕が私立王星学院に入学したのは、両親からそれを期待されていたからに過ぎない。もしかしたら最高学府に進み、広い世界を経験すれば生きることが面白くなるかもしれない、と思いそして……それは事実意図せぬ方向で適ったのである。
ジャパニメーションの発祥地。日本の頂点に経つ珠玉の才能。漫画界の新星にしてあらゆるエンターテイメントに影響を与える神童にして怪童。笹宮 明との出会いによって。