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2016/9/15 ストコン「天才」佳作、ありがとうございました!
―――つまらぬ、身の上話をします。僕がまだ、日本の奥地にある、とある村に住んでいた時の話です。そのころ僕は10もゆかぬ歳で、世の中の事は右も左も分かりませんでした。なっていったって、人は死んでも、願えば生き返ると信じていたくらいです。とにかく僕は無知で罪深い、今思えば空恐ろしい子供でした。そんな僕でもただ一つ真実として知っていたことがありました。それは村のみんなが口癖のように言っていたこと。「教主様は世界で一番偉い御方」だという真実。教主様は当時の僕よりも少し年上の、村で一等美しい少年でした。とびきり白い肌と、絹のような御髪と、澄み切った瞳とをお持ちで、その儚げな美しさと言ったら、見る者の呼吸を奪うほどです。教主様のその涼やかな双眸に見つめられたなら。その凛とした声で話しかけられたのなら。どんな者でも、たちまち教主様の虜になりました。無論、僕もです。そのような美しい教主様が、ある1つの出会いをし、その出会いが教主様の人生をすっかり狂わせ、ひいては僕の運命をも丸っきり変えてしまいました。その話を今から致しましょう。少し、長くなるかもしれません。