今、飛ぶ鳥を落とす勢いでスター街道爆進中のカリスマモデル・神宮寺ミオと主人公・小鳥遊 洵(たかなし まこと)は、ごく短期間であったが同じ養護施設で育った幼なじみだ。そんなミオは時々ぷいっと姿を暗まし、何日も行方知れずになる事がある。ミオ、曰く ―― 何とかのいぬ間に命の洗濯、だそうだが……事務所の社長さん自ら”ミオの身代わりでカメラの前に立ってくれ”と言われた時は、流石の洵もどうなる事か?と、かなり肝を冷やしたものだが。人間、なにごとも慣れというのは恐ろしいもので……。
綾香は土曜の朝、ベッドの中で、陰鬱な朝を迎えることになった。今日は健太と、午前十一時に駅構内の時計台で逢う予定になっている。ベッドから抜け出してシャワーを浴び、洗面化粧台と向き合った。疲れた表情が鏡に映っていて、昨日の金曜の出来事が脳裏に浮かんだ。