翌朝、タダオは慌てた様子でジョセフとポテトの部屋へ駆け込んだ。

ジョセフさん、ポテトさん、起きてくだせぇ!!

タダオの声に驚いて、
ジョセフとポテトは眠りから覚めた

...なんだ?

ふわぁ~

いいから直ぐにきてくだせぇ!

タダオは彼らの手を引っ張り、
浴衣のまま外へと連れ出した。

いったいどうしたんだ?

大変です、カズオが亡くなってるんです!

カズオさんが!?

山の中にある倉庫に着くと、
そこには村猫が集まっていた。

ざわざわ

みんなどいてくれ、警察の方だ

群れをかき分けると、
そこにはカズオの遺体が横たわっていた。

うわぁ死んでる!!

死体だ!ボク、初めて見ました!

あのメス猫の予言通りになってしまった

だ、第一発見者は?

ジョセフが訪ねると、おじいさんが前に出た
名前はサダキチ

わしじゃ。ここには農作業用の道具があって、毎朝道具を取りにくるんじゃ。

今朝、来たら開かないんじゃ。誰かいるのか尋ねたけど返事がなかったから

持っていた鍬でドアを壊したら、中にカズオの遺体があってな

どうやら中からこの南京錠で鍵をかけたらしい

外から開かないよう鍵がかかっていたということか

物置の中には窓がなく、
出入り口は一つだけだった。
ポテトは目をキラキラさせながら言った

これは密室殺人ですね!

ジョセフは一刻も早くこの場を立ち去りたいと
願っていたが、村猫たちとポテトの期待の
目線を気にして、一応それっぽいことを
やってみることにした。

ま、まずは遺体の状態を確認する、ポテト、見てくれ

えぇー、いやですよ!ボク初めてですもん。やはり先輩の考察が聞きたいですよ

おれも初めてだってば

そ、そうか

ジョセフは遺体をじーっと見つめた。

こ、これは!

なんですか?

死んでるな!

え?

いやぁ、苦しそうに死んでるなぁ

ほうほう、では首を絞められたとか、殴られたとかですか?

あ、ああ、外傷はないからそれは違うかなぁ

なるほどです~

わかったぞ!こんな山の中に
一匹で来たということは

カズオは自殺だ!

自殺ですか?

ああ、昨日の昼間に聞いただろ。婚約者にあんなフラれ方されたんだ。ショックで自ら命を絶ったのさ

死因はなんですか?

外傷がないとすると毒でも飲んだか?

倉庫の中には道具が散乱していた
ジョセフはその中にある液体の瓶に気づき

サダキチのじーさん
これはなんだ?

それは農薬じゃな

飲むと死ぬか?

わからんが、死ぬかもしれん

ジョセフはすぐに結論を出した。

決まりだな!

という事は、この中で農薬を飲んで自殺したという事ですね

そうゆうことだ

村猫たちとポテトはジョセフの推理に感心し、
納得した様子だった。ジョセフは内心ほっとしながらも、早くこの場を離れたいという気持ちを
押し隠していた。

待ってくだせぇ!自殺なんてするはずねぇ!

おらは昨日の夜カズオと
話したんだ

マユコにあんなこと言われるなんて…うっうっ

仕方ない。本当のことだ

おれ、マユコにふさわしいオスになるよ。そうしたら、きっと戻ってくる

そうだ、きっと戻ってくるさ!

カズオはそのまま寝室に向かった。
タダオはその背中を見送り、カズオの家を出た

昨日そう言ってたのに、
自殺なんかするはずねぇ!

しかし...

その時、ポテトが何かに気づいて声を上げた

先輩
これ見てください!

ポテトが指差した先には、
泥で書かれた文字があった。

これは亡くなる直前にカズオさんが書いた犯人を知らせるための...

遺言!!

ダイイングメッセージね。

メッセージには「アマー…」
と読める文字が書かれていた。

アマ―??

アマ―とはいったい?

ジョセフさん、ちゃんと調べてくだせぇ!これじゃあカズオがかわいそうだ!

村猫たちの視線がジョセフに集中した。ジョセフは内心焦りながらも冷静を装っていた

いったいどうすれば...

タダオさん、今は鑑識の結果を待ちましょう 死因が特定できるはずです

ナイスポテト!!

そ、そうか...

我々は慎重に調査を進めるから、みんなは安心して待っていてくれ。必ず真実を突き止めて、カズオの無念を晴らすから。

ポテトは目撃者やカズオの行動について調べてくれ

はい、先輩は?

おれは着替えてダイイングメッセージについて調べてみる。

じゃあボクも着替えて...

ポテト、事態は急を要する。これ以上犠牲者を出してはいけない、直ぐに取り掛かろう

はい!!

こうして、ジョセフとポテトはそれぞれの
任務に取り掛かることになった。村猫たちの期待と緊張感の中、二匹は真実に迫るための一歩を
踏み出したのだった。
つづく

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