僕が地の欠片の力を使って岩壁を作り、
時間を稼いでいる間にシンディさんが
町へ助けを呼びに行こうとしたんだけど
サカマタンたちは魔法攻撃で
それを妨害してきた。

誰ひとりとして
逃がさないということらしい。


このままでは身動きが取れない。
どうすればいいのかな?
 
 

トーヤ

シンディさん、
どうしましょうか?

シンディ

戦術はいくつか
考えられるわね。

シンディ

ひとつはこのまま
守りに徹すること。

トーヤ

この岩壁から出ずに
にらみ合いを
続けるんですね?

シンディ

えぇ。
彼らが根負けして
どこかへ去っていくまで
ひたすら待つ作戦よ。

トーヤ

時間はかかりますが
これなら僕たちが
やられるということは
ないですね。

シンディ

それに夕方になれば
私たちがいないことに
みんなが気付いて
ここへ捜しに来てくれる
可能性も高いわ。

トーヤ

ドンガラさんと一緒に
岩礁地帯へ行くって
言ってありますもんね。

 
 
うん、この作戦なら助かる確率は
高いかもしれないな。
ただ、あと数時間は
ひたすら耐えるしかない。

サカマタンたちが断続的に
攻撃をしてきたり、
仲間を呼んだりしなければいいけど……。
 
 

シンディ

もうひとつは
攻撃を仕掛けて
実力で撃退すること。

シンディ

私は魔法で攻撃、
ドンガラはブレスで攻撃。

トーヤ

僕は地の欠片を使って
攻撃をするわけですね。

ドンガラ

おふたりの力があれば
撃退できるでしょうけど
俺らも無傷では
済まないかも
しれやせんぜ?

トーヤ

ハイリスク
ハイリターンですね。

シンディ

この作戦は
個人的には
オススメしないけどね。

 
 
そうだよなぁ。
早く決着は付くだろうけど
怪我のリスクは避けられないもんなぁ。

だから僕もこの作戦はなるべくしたくない。
それなら防御に徹する作戦の方がいい。



あとは――。
 
 

トーヤ

岩壁の範囲を
少しずつ広げて
町へ接近するというのは
どうです?

シンディ

あまり町の近くまで
岩壁を作ると、
色々と面倒よ。

シンディ

あとで元通りに
しておかないと
町の人たちに
迷惑がかかるし。

ドンガラ

その地の欠片を
狙ってくるヤツも
現れかねませんぜ?

トーヤ

ま、地の欠片は
誰にでも使えるわけじゃ
ないんだけどね。

シンディ

でも奪おうとするヤツは
そのことを
知らないだろうしね。

 
 
そうなるとやっぱり
このまま岩壁の中に留まって
みんなの助けを待つというのが
一番いいのかもなぁ。

少し消極的な作戦になってしまうけど。
 
 

ドンガラ

岩壁の中から
攻撃を仕掛けるのは
どうです?

シンディ

射程の外へ逃げられたら
私たちが疲弊するだけよ。

ドンガラ

確かに……。

 
 
ガックリと肩を落とすドンガラさん。

でも選択肢の可能性を考えて、
結果的にそれがダメだと判明したことは
意味がなかったわけじゃない。
 
 

トーヤ

こんな時、
離れた場所にいる誰かと
意思疎通できる手段が
あればいいのになぁ。

ドンガラ

テレパシーみたいな
もんですかね?

トーヤ

あ、うん。そうだね。

トーヤ

敵に気付かれずに
意思疎通できれば
苦労しないからね。

トーヤ

情報は戦いにおいて
盾にも矛にも
なりやすいからね。

 
 
この場にエルムかロンメルが
いてくれたら
多少の距離が離れていてもテレパシーで
意思疎通が出来たんだけどな。

ふたりは僕の使い魔だからね。


ここが地の世界だったら
良かったのに……。
 
 

トーヤ

――ん?
地の世界……か……。

 
 
別に遠隔で意思疎通が出来なくても
敵に気付かれないように移動できれば
いいんじゃないか?

もしかしたら、
あの方法が使えるかも……。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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