戦力的に不利な状況で
僕たちはサカマタンの群れと
対峙していた。

ドンガラさんは戦意喪失しているし、
アタッカーが
シンディさんだけではジリ貧。

となると、僕も攻撃に加わって
打開する手段を模索するしかない。



やはり戦術としては
フォーチュンで遠隔攻撃をして
シンディさんの援護をするのが
ベストか……。
 
 

トーヤ

確か爆裂弾が
いくつかあったよな。

 
 
石や金属弾では単体にしか効果がない。
でも爆裂弾なら相手の陣形や
タイミング次第で複数を攻撃できる。

ある程度、
彼らを弱らせることが出来れば
逃げるチャンスも生まれるかもしれない。
 
 

トーヤ

えっと、爆裂弾は……。

 
 
僕は懐を手で探り、
爆裂弾の入っている袋を探した。

すると指先に硬い感触が――。
 
 

トーヤ

ん? これは!?

 
 
何だろうと思って取り出してみると、
それは火山地帯でも使用した
地の欠片だった。




――そうだっ!
僕には地の欠片があったんだった!

これをうまく使えば
このピンチも
乗り越えられるんじゃないだろうか?

だって地の欠片には
火山さえ鎮めてしまう
強大な力があるんだから。
 
 

トーヤ

シンディさん、
僕が地の欠片の力を使って
岩の壁を作ります。

トーヤ

そうやって時間稼ぎを
している間に
みんなを呼んできて
もらえますか?

シンディ

トーヤ、
ひとりで大丈夫なの?

シンディ

……いえ、リーダーなら
それくらいは
やってもらわないとね。

トーヤ

はいっ!

シンディ

ドンガラ、
いざとなったら
トーヤを頼むわよ?

ドンガラ

……ぜ、善処しやす。

トーヤ

よしっ! やるぞぉっ!

 
 
僕は地の欠片を握りしめると、
その力を行使するために念じ始めた。

温かな力が手のひらを通じて
僕の体に流れ込んでくる。
 
 
 
 
 

トーヤ

地の欠片よ、
僕に力を貸してくれ。
僕の周りに岩の壁を作って
サカマタンから守って。

 
 
 
 
 

 
 
程なく地の欠片は輝き始め、
何もない地面から板状の巨大な岩壁が
勢いよくせり上がった。

それはサカマタンの何倍もの大きさで、
まるで城壁のように佇んでいる。




せり上がった壁が
サカマタンに直撃してくれたら
一石二鳥だっただろうけど
さすがにそこまでうまくはいかない。

彼らは驚きつつもすばやく距離をとって
岩壁を回避する。


あとはこの岩壁をいくつか作って
僕たちを囲ってしまえば
サカマタンたちは手出しが出来ないはず。
絶対的な防御壁の完成だ。
 
 

トーヤ

シンディさん、
今のうちに町へ。

シンディ

分かったわ。

 
 
シンディさんは岩壁の横をすり抜け
町へと向かって走り出した。

でも次の瞬間、
彼女の背中に向かってサカマタンが
大水流を巻き起こす魔法を放つ!
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

シンディ

くっ!

 
 
即座にその攻撃に気付いた
シンディさんは
機敏な動きでそれを避けた。

そして踵を返して
僕たちのいる岩壁へと戻ってくる。



ここから町まで障害物のない
平坦な場所になっているため
そのまま進むと集中砲火を受けて
危険だと判断したんだろう。

サカマタンたちはここから誰も
逃がさない気でいるらしい。
 
 

トーヤ

シンディさん!

シンディ

大丈夫よ。怪我はないわ。

シンディ

ただ、町へ助けを
呼びに行くというのは
難しそうね。

トーヤ

とりあえず
岩壁をもっと作って
防御だけは
固めておきましょう。

 
 
その後、僕は地の欠片の力を使って
岩壁を何枚か作り出し、周りを囲った。

これでサカマタンたちから
直接的に攻撃を食らう危険性は
ほとんどなくなっただろう。



同時に、このままでは
身動きが取れないというのも事実――。

果たしてこの事態を打開する方法は
あるのだろうか?
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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