ドンガラさんが海に異変を感じて
移動を一時的に止めた。

その後、ビセットさんの考察によって
違和感の正体は
『海流の動きの変化』だと
推測できたけど、
僕たちの行く手に影響はありそうかな?
 
 

トーヤ

ドンガラさん、
違和感の正体が海流の
動きの変化だと
仮定したとして
問題はありそうですか?

ドンガラ

ちょっと
待ってくだせぃ。
流れの方向を
調べてみますんで。

 
 
そう言うと、
ドンガラさんは少し浮かび上がって
しばらく水の流れを体やヒレで
感じ取っていた。

こういうのは僕たちじゃ出来ないし
分かりにくいことだからね。
この場においては彼の専売特許だ。



その後、ドンガラさんは
僕たちのところへ降りてきて口を開く。
 
 

ドンガラ

ちょっと厄介ですねぃ。
流速がいつもより
上がってるようで。
しかも俺らの進む方向と
逆向きです。

トーヤ

スピードダウンと
揺れの増大は
避けられないか。

トーヤ

シンディさん、
ドンガラさんの体への
負担はどうでしょう?

シンディ

そうねぇ、
休憩の回数を増やして
1日の航続距離も
短くするしかないわね。

カレン

無理はさせられない
ですもんね。

 
 
この状況だとどうしても
移動に時間がかかるのは
仕方がないなぁ。

ドンガラさんの体に大きな負担を
かけるわけにもいかないしね。
 
 

サララ

あのあの、
私、思ったんですけど。

トーヤ

ん? どうしたの?

サララ

泳ぐのをドンガラさんに
任せっきりにする必要は
ないんじゃないですか?

トーヤ

どういうこと?

サララ

乗ってる私たちの誰かが
水や風の魔法を
後ろに放って
推進力にするんですよ。

トーヤ

あ……。

ビセット

流体の反作用を
利用するわけですね。
それはうまい方法です。

 
 
確かにドンガラさんだけが
泳ぐ必要はない。

もし僕たちの中に水や風の魔法の
使い手がいるなら
その方法が合理的だ。



僕たちの魔法力や体力を温存したいなら
話は別だけど。
 
 

トーヤ

最初からそうしてれば
もう少し早く
移動できたかもね。

シンディ

どうかしら?

トーヤ

えっ?

シンディ

それって独立した動力を
複数使ってるのと
同じことでしょ?

シンディ

制御系が
同期していないから
ドンガラがバランスを
崩しやすくなるわ。

カレン

それだと私たちが
落下するリスクが
高くなりますね。

ソニア

それに不測の事態に
急転回やブレーキが
利きにくくなる。

ソニア

モンスターが
襲ってきた時の
迎撃要員も減っちゃうし。

トーヤ

そっか、デメリットも
あるわけですね。

 
 
やっぱり一長一短なんだな。

そう考えると、今回のように
流れに逆らって進む場合とかに
補助的な推進力として
魔法を使うくらいに留めておくのが
ベターなのかもしれないな。
 
 

ソニア

むしろ魚類を
全力で泳がせて、
疲れたら回復魔法や
回復薬を使う方が
ローリスク
ハイリターンよ。

ドンガラ

あんたは鬼ですかっ!?

ソニア

魚類がどうなろうと
知ったこっちゃないし。

トーヤ

いやいやそれは……。

 
 
さすがにそれだとドンガラさんの体が
どこかで壊れちゃうから
僕やカレン、シンディさんが
許可しないけどね。

回復魔法や回復薬だって
万能じゃないから。
使えば使うほど効果が薄くなっていくし。
 
 

ビセット

では、ドンガラ殿には
引き続き
がんばっていただいて、
減速分は私たちが魔法で
補助しましょう。

シンディ

私とビセット、
ソニア、カレンが
交代で担当しましょう。

カレン

トーヤとサララは
魔法が得意じゃ
ないもんね。

トーヤ

てはは、
申し訳ない……。

サララ

私は担当しても
大丈夫ですよ?

トーヤ

あ……えっと、サララは
最後の切り札だから
僕と一緒に待機して
周囲を警戒する役目。
お願いできる?

サララ

そういうことですかっ!
分っかりましたぁ!

 
 
良かった、サララは僕の言葉に
納得してくれたみたい。
ま、彼女の魔法の成功率を考えたら
危なっかしいもんね。

それにいざという時の
切り札っていうのは本当のことだし、
この配置で良いと思う。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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