ソニアさんは火山の切れ目から北側へ
対策を講じた上で
一気に抜けるという
みんなの意見に反対した。
そして最後に僕が考えを
述べることとなる。
僕の考えは――。
ソニアさんは火山の切れ目から北側へ
対策を講じた上で
一気に抜けるという
みんなの意見に反対した。
そして最後に僕が考えを
述べることとなる。
僕の考えは――。
僕はみんなの意見に
反対です。
トーヤ……。
理由を聞かせて。
あ、勘違い
しないでくださいね?
僕は迂回に賛成という
ことでもないんです。
というと?
ほかの方法がないか
もう少し
考えてみましょうと
言いたいんです。
それを頭の隅に
置いておいて
聞いてほしいんです。
分かりました。
で、なぜトーヤ殿は
私たちの意見に
反対なんです?
なんというか、
こういう場合は
最悪の事態を想定して
おく方がいいかなって。
危機管理の観点で言えば
なるべく『想定外』の事態は避けたい。
つまり想定しうるリスクに対して
対策なり対案なり代替手段なりを
考えておくのが大切だ。
備えあれば憂いなし。
そうやって『想定外』を減らして
『想定内』にしておくのが肝要なんだ。
今は問題なくても
突然、噴火することも
あり得ると思うんです。
火山地帯であれば
地下に隠れた噴火口が
ないとも限りませんから。
確かにその可能性は
否定できませんね。
それに危険地帯を
抜けるまで
魔法が持続するかも
分かりませんし。
魔法力回復薬があるから
心配は少ないでしょうけど
使用中とか使用直後とか
インターバルは
ゼロではないわね。
はい。それに……。
僕は一瞬、口ごもった。
だって言霊ということがあるように
言ったことが現実に
なるかもしれないから。
でもこれは起こりうる事態だと思うから
みんなに危機感を持ってもらうためにも
僕は意を決して口を開く。
……それにこれは
考え過ぎかもですが
安全そうに見える場所こそ
危険かなって。
どういう意味?
安全に抜けられそうな
場所は
限られるわけですよね?
だとしたら、
僕が敵の立場なら
その場所に
ワナを仕掛けます。
あ……。
なるほど……。
一理ありますね。
しかも周囲は火山だらけ。
強力な攻撃魔法は
活動を刺激してしまう
可能性もあります。
そうなった時、
通れる範囲が狭いなら
なおさら
逃げ道も限られますし。
遠くから
攻撃魔法を放って
火山を大爆発。
私たちを一網打尽――
ってことも出来るわね。
ソニアさん以外の全員が
押し黙ってしまった。
でもこの感じだと
僕が反対した理由を納得して
理解してくれたみたい。
さすがトーヤね。
私が反対した理由、
みんなも分かった?
えぇ……。
じゃ、トーヤ。
どうする?
迂回以外の方法、
思いつく?
いえ……
そこまではまだ……。
そうなんだ。
そこまで言えたら
満点だったんだけどな。
……つまりソニアは
何かいい方法に
心当たりがあるワケね?
しかもトーヤもその方法に
考え至ることが出来る。
そういうことでしょ?
ご明察~♪
えっ?
最善と思われるというか、
ソニアさんが考えている対案に
僕も考え至ることが出来るのっ!?
全く浮かんでこないんだけど……。
次回へ続く!