ソニアさんは火山の切れ目から北側へ
対策を講じた上で
一気に抜けるという
みんなの意見に反対した。

そして最後に僕が考えを
述べることとなる。



僕の考えは――。
 
 

トーヤ

僕はみんなの意見に
反対です。

カレン

トーヤ……。

シンディ

理由を聞かせて。

トーヤ

あ、勘違い
しないでくださいね?
僕は迂回に賛成という
ことでもないんです。

サララ

というと?

トーヤ

ほかの方法がないか
もう少し
考えてみましょうと
言いたいんです。

トーヤ

それを頭の隅に
置いておいて
聞いてほしいんです。

ビセット

分かりました。
で、なぜトーヤ殿は
私たちの意見に
反対なんです?

トーヤ

なんというか、
こういう場合は
最悪の事態を想定して
おく方がいいかなって。

 
 
危機管理の観点で言えば
なるべく『想定外』の事態は避けたい。

つまり想定しうるリスクに対して
対策なり対案なり代替手段なりを
考えておくのが大切だ。


備えあれば憂いなし。

そうやって『想定外』を減らして
『想定内』にしておくのが肝要なんだ。
 
 

トーヤ

今は問題なくても
突然、噴火することも
あり得ると思うんです。

トーヤ

火山地帯であれば
地下に隠れた噴火口が
ないとも限りませんから。

ビセット

確かにその可能性は
否定できませんね。

トーヤ

それに危険地帯を
抜けるまで
魔法が持続するかも
分かりませんし。

シンディ

魔法力回復薬があるから
心配は少ないでしょうけど
使用中とか使用直後とか
インターバルは
ゼロではないわね。

トーヤ

はい。それに……。

 
 
僕は一瞬、口ごもった。

だって言霊ということがあるように
言ったことが現実に
なるかもしれないから。

でもこれは起こりうる事態だと思うから
みんなに危機感を持ってもらうためにも
僕は意を決して口を開く。
 
 

トーヤ

……それにこれは
考え過ぎかもですが
安全そうに見える場所こそ
危険かなって。

シンディ

どういう意味?

トーヤ

安全に抜けられそうな
場所は
限られるわけですよね?

トーヤ

だとしたら、
僕が敵の立場なら
その場所に
ワナを仕掛けます。

カレン

あ……。

シンディ

なるほど……。

ビセット

一理ありますね。

トーヤ

しかも周囲は火山だらけ。
強力な攻撃魔法は
活動を刺激してしまう
可能性もあります。

トーヤ

そうなった時、
通れる範囲が狭いなら
なおさら
逃げ道も限られますし。

ソニア

遠くから
攻撃魔法を放って
火山を大爆発。
私たちを一網打尽――
ってことも出来るわね。

 
 
ソニアさん以外の全員が
押し黙ってしまった。

でもこの感じだと
僕が反対した理由を納得して
理解してくれたみたい。
 
 

ソニア

さすがトーヤね。
私が反対した理由、
みんなも分かった?

カレン

えぇ……。

ソニア

じゃ、トーヤ。
どうする?
迂回以外の方法、
思いつく?

トーヤ

いえ……
そこまではまだ……。

ソニア

そうなんだ。
そこまで言えたら
満点だったんだけどな。

シンディ

……つまりソニアは
何かいい方法に
心当たりがあるワケね?

シンディ

しかもトーヤもその方法に
考え至ることが出来る。
そういうことでしょ?

ソニア

ご明察~♪

トーヤ

えっ?

 
 
最善と思われるというか、
ソニアさんが考えている対案に
僕も考え至ることが出来るのっ!?

全く浮かんでこないんだけど……。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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