生きてたのか!!

君は……。

蓮の呼吸は荒く、体も傷だらけでボロボロだった。

敬介の呼びかけに、少しだけ目を開けて誰か思い出そうとする。

形山君……だね。

ああ。
たしか、蓮って名前だったよな?

うん。
覚えていてくれて嬉しいよ。

蓮は敬介の問いかけに少し笑みを浮かべる。

お前生きてたんだな。
認証試練で死亡した知らせがあって、大変だったんだぞ。

僕は死んだことにされているのか。

死んだことに?
どういうことだ。

この洞穴へは、連れてこられたんだ。
第三試練が始まって5分程経った頃、突然辺りで鈴の音が鳴り響いて、少しずつ意識が薄れて気づけばここに。

誘拐ってことか。
それに鈴の音って……。

君も思い当たるだろ。

あの試験官だな。
どうりで態度がおかしいと思ってたんだ。

うん。
何の目的で僕を愁いの沼まで連れてきたのか分からないから、早くここを出ないと2人とも危ない。

そういって、蓮はその場でゆっくりと立ち上がろうとする。

うっ!

おいっ。
無理すんな!

ふらつき倒れ込んでしまった連に、敬介が手を伸ばし軽く支える。

ごめん。
それより、なんで君はここへ?

俺の仲間が捕まったから、助けに来たんだ。

仲間?
まさか、その人も僕と同じで……。

今の鈴の音は。

僕を探しているみたいだ。

逃げよう!!

鈴の音が徐々に近づいてきてることを知り、敬介は連に肩を貸しながら、反対方向へと歩いていく。

敬介の叫び声を聞いて洞穴に入った美咲と大宮。

目の前には行く手を阻む敵が現れていた。

厄介そうなやつだな。

うん。
普通のチョウチョじゃないよね。

第4章--愁いの沼編--(105話)-鈴の音-

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