牢に閉じ込められた矢島と島本の前に、認証試練で試験官を務めていた、鈴香が現れた。

誰だ?

私が誰かはどうでもいいでしょ。

何だと?

君のことは、君の可愛い弟子達に教えてもらったわ。
正確には、認証試練のアンケートでだけど。

■第十八問■


あなたが光術を学んだ師をフルネームで述べよ。

※なお、この設問については試練の対象外とする。

□第十八問・解答□

矢島 光一

鈴香はジャケットから敬介と美咲が受験した第一試練の解答用紙を取り出し、牢の鉄格子越しに矢島に見せる。。

矢島はそこに自分の名前が記載されているのを見ると、すぐに鈴香へ向き直す。

灯(ともしび)の人間だな。
なぜ名前だけで僕がその矢島だと分かる?

名前を呼びながら、探し回ってる弟子達がいて、牢に閉じ込められてる男がいる。
それで十分でしょ。

じゃあ、何が目的だ?

なんだろうね?

じゃあね~。

矢島の質問には答えず、鈴香は牢に背を向けて、どかかへ去って行った。

鈴香が去った後、驚いた表情を見せていた島本が矢島へ近付く。

今の女は?
味方ではなさそうだが。

光術士統一協会の人間です。
見ての通り、味方とは言い難いですね。

わざわざこんな所まで来て、冷やかしに来ただけなのか。

あの緑色の髪の男の仲間、だなんてことじゃなければいいのですが……。

道が複雑すぎて、どこを通ったかも分からなくなってきた。

赤い目の門番のいない道を選びながら歩き回っていたが、思った以上に複雑で迷ってしまっていた。

何かいい方法はないのか……。

いったん立ち止まり、打開策がないか辺りを見回す。

そんな都合よくないよなぁ。

修太達もいれば心強かったけど、死んだ友達のことを調べていて邪魔できなかったからな。

ん?
誰かいるのか。

少し先にある曲がり角の方から、息遣いのような音が聞こえてきた。

敬介は、警戒しながら少しずつ近づいていく。

お前はっ!!

角を曲がり、そこに座り込んだ人物を見て驚愕した。

うっ……。

そこには、認証試練で死亡したと判断された並桐蓮の姿があった。

第4章--愁いの沼編--(104話)-可愛い弟子-

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