矢島と島本の救出のため、愁いの沼へ向かった敬介と美咲と大宮だったが、2人がいると思われる洞穴に敬介が落ちてしまい、一人探索をしていた。

その時、剣のようなものを持ったシャドーが1体、敬介の前に立っていた。

やっぱりシャドーが絡んでいたのか。

敬介が戦おうと構えるが、そのシャドーは動く気配がない。

こっちの出方を待っているんだな。

洞穴内の少しひんやりとした空気を感じながら、足をじりじりと動かし、いつでも動き出せるように構える。

しかし、それでもシャドーは動かない。
不気味な赤い目が敬介を見つめている。

こいつ、シャドーだよな?

警戒はしつつも、そのシャドーに近づいていくが、それでも動かない。

そして、シャドーとの距離が1.5mまで近付いた瞬間。

うわぁっ!!

シャドーの間合いに入った途端、持っていた剣で切り付けてきた。

ギリギリで敬介も避けることができたのだが、追撃はなくそのまま動かなくなった。

門番ってところか。
こっちから道を通ろうとしない限り、攻撃はしてこないんだな。

シャドーの赤い目がまたも敬介を見つめる。

そっちから来ないなら、わざわざここを通る必要もないな。

別の道に向かうため、敬介は途中にあった分かれ道まで戻ることにした。

本当に動かねぇな。

だんだんとシャドーとの距離が離れていくが、動きは全くない。

敬介は首を傾げながら、その不思議なシャドーを見ながら歩いていた。

こんな時に言うのもなんだが、光術士であることの重みを知ったよ。

島本さん。

君や形山君達のような若い子も、人々を命懸けで影の脅威から守ってくれているんだよな。

重たいよな。

そうですね。
でも彼らは重たいとは感じていないかもしれないです。
純粋に、ただ誰かを守りたい。

そんな気持ちでいてくれてるだろうから、僕も彼らが助けに来てくれると信じているんです。

もしかして、もう助けが来たのか。

2人の牢に、何者かが近付いてくる。

いえ。
この感じは敬介君達じゃない。

近付いてきた者は、牢の前に立ち止まった。

こんなに早く会えるとはね。
矢島光一。

第4章--愁いの沼編--(103話)-赤目の門番-

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