シンディさんは応急処置として
ドンガラさんに回復魔法をかけた。
ただ、こうした慢性的な症状は
それだけで全快はしないから、
投薬や魔法による
継続的な治療が必要になる。
シンディさんは応急処置として
ドンガラさんに回復魔法をかけた。
ただ、こうした慢性的な症状は
それだけで全快はしないから、
投薬や魔法による
継続的な治療が必要になる。
あ……こりゃ……。
天国にいる心地だ……。
本当に
気持ちよさそうだなぁ。
薬草師としてのクセなのか、
治療によって患者さんの怪我や病気が
良くなっている姿を見ると
僕まで嬉しくなってくる。
思わず笑みがこぼれちゃうなぁ。
するとその時、隣にいたカレンが
僕のことを肘で軽く突いてくる。
どうしたの、カレン?
トーヤ、鎮痛剤と
炎症に効く薬を用意して。
そうね、複合薬の
ナンダランがいいわ。
あ……そうだね。
慢性的な症状なら
弱めの薬で根気よく
治療するのが
良いと思うから。
さすがカレンね。
私も同じ意見よ。
どうやらシンディさんに
僕たちの会話が聞こえていたようだ。
しかもその内容に同意してくれたみたい。
この場にいる医師と薬草師の全員が
同じ所見だから
治療方針は問題ないだろう。
でもカレン、今は薬の
ストックがないよ?
材料は揃ってるけど
水中で調薬は出来ないし。
そういうことなら
私にお任せを!
ビセットさん?
ニタニタと怪しい笑みを浮かべて
前に出るビセットさん。
整体でもしようってことなのかな?
体術に長けたビセットさんなら
そういう技術を持ってそうだもんね。
でもそれと調薬とは関係ないような
気がするけど。
水中で調薬が
出来ないなら
水をどけてしまえば
いいのです。
どうやってです?
水系の魔法の中に
泡を作り出す
『バブリー』というものが
あります。
小屋くらいの大きさの
泡を作り出して、
その中で調薬をすれば
いいのですよ。
あ、なるほど!
幸い、
私は水系の魔法が
得意でして、
当然バブリーも使えます。
強度も問題は
ありません。
余程のことがない限り
泡が発散することは
ありません。
では、すぐに
調薬を始めましょう。
こうして僕はビセットさんが作り出した
魔法の泡の中で調薬をした。
そして無事にナンダランを作ることが
出来たのだった。
でも良かった。
ちょっと手間はかかるけど、
これならこの世界でも
調薬をすることが出来る。
戦闘中とか移動中とか、
そういう悪条件でなければだけど。
あぁ、体が
すごく楽になった。
体が軽いぜ。
投薬を受け、
スッキリとした顔をしている
ドンガラさん。
でもあまり無理はしてほしくないなぁ。
ちょっと良くなったからって
調子に乗ると
症状が悪化しかねないからね。
姉御、そして皆の衆、
この恩義は忘れねぇ。
どうか俺を
こき使ってやって
くだせぃ。
姉御って……。
まぁ、呼び名は
どうでもいいけど。
いえ、
無理のない範囲で
お願いします。
それに僕たちはもう
仲間じゃないですか。
助け合いは当然です。
トーヤの兄貴ぃ!
さぁ、それでは
今夜はゆっくり休んで
明日に体力万全で
出発しましょう。
こうして僕たちの旅に
アーゴのドンガラが加わった。
あとは彼の力を借りて北を目指すだけだ。
もちろん、北の地では水の欠片を使って
悪事を目論むヤツを倒さないと
いけないんだけど。
ひとまず最初の難関は
突破したって感じかな。
次回へ続く!